2016年1月9日土曜日

オーティス・クレイが死んでしまった




オーティス・クレイが死んでしまったらしい。

現時点で公式なアナウンスが為されてはいないが、Bo-keysのように共演したバンドがtweetしているので恐らくそうなのだろう。
去年、ビリー・プライスと共演したアルバムがラストになるのか。
あのアルバムに収録されたクワイエット・エレガンスのカバーは反則だった。だってそうだろう。あのオーティスがあの曲のカバーをやるなんて嫌だなんて思えるわけがない。
全盛期と比較すると声の張りやキレが衰えたのはしょうがないが、それでもまだまだ声は出ているし、説得力はたっぷりだった。




去年もベン・E、パーシー、コヴェイ、B・Bと、日本でも親しまれたブルースやソウルのビッグネームが逝去したが、ある意味でオーティス・クレイの訃報は誰よりもある時代の終わりを意味しているような気がしてならない。
ある世代の、ある種類の人たちにとって、オーティス・クレイは音楽の持つ最も魅力的で、なにより誠実な部分を象徴していた時代があったと思う。
もちろん、そんな時代はとっくに終わっている。オーティス・クレイが日本のソウル・ファンにとって特別な存在だった時代は80年代が終わるよりはるか以前に幕を閉じていた。たぶんほとんどの人はオーティス・クレイの存在すら忘れてしまっただろう。
そして誰よりもそうした心情をオーティスに仮託していた評論家の桜井ユタカも数年前に死んだ。そうしたことごとくのわずかなかけらが、オーティスの訃報によって、本当の本当に終わってしまったのだ。


俺はその世代とはかなりズレて音楽を聴きはじめた。
オーティス・クレイの名前を知ったのはいつだっただろう?
具体的には特定できないが、中高生の時点で名前は知っていたと思う。
とはいえ、肝心の楽曲を知るのはまだまだあとのことだ。
雑誌で名前だけを見かけ、オーティス・ラッシュだの、ロバート・クレイだの、ブルースとかソウルは似たような名前のやつが多すぎて区別がつかねえ、とボンクラの俺は思ったものだった。

はじめて音源を買ったのははたちぐらいになって、「愛なき世界」のイギリス盤。Demonからの再発で、ジャケットがHiのものとは異なるデザインで、ボーナストラックが収録されて1曲多くなっている。

実を言うといきなりのめりこんだわけではなかった。ソウルを聴きはじめた最初のうちはスタックスやモータウンなどに比べてハイサウンドはとっつき辛く感じていたのだ。
ハイのよさがわかったのは25歳あたりだったが、それからソウルにのめりこんだ。それまでは自分の優先順位のなかで、ソウルはロックやブルースの下だった。「愛なき世界」をくりかえし聴くようになったのはそれからのことだ。
そのころから依然として、「I Die A Little Each Day」は何度くりかえしても褪せることがない、俺のプレシャスな曲だ。





そうしてオーティスを特別なシンガーとして認識してから、2種類出た日本でのライブアルバムを筆頭にアルバムを買い集めた。ライブアルバムは2種類ともここ数年でオリジナル仕様でCD化されたが、当時はもちろんアナログ。どうせならCD化の際にデラックスエディションとして、アナログではオミットされた楽曲や、リハーサルテイクなんかも入れたらよかったのに。



そんな時期に再発されたのが、One-Derful時代の録音をコンパイルした「Testify!」というコンピレーションだ。ここ数年では最もよく聴いていた。音楽としてのボルテージやパワーを考えると、あの時期こそがピークだったではないかという気もする。



興味を抱いてからはじめてリアルタイムで聴いたオリジナルアルバムは、ライブアルバムの「Respect Yourself」。声量やテンションが凄い。想像以上の現役ぶりに圧倒され、また、嬉しくなり、ずいぶんいろんな人に聴かせまくったものだった。

 

ソロアルバムとしてラストとなった「Truth Is」。その前作の「Walk A Mile In My Shoes」もそうだったようにライブ録音あり、既にほかのアルバムに収録した楽曲ありといった適当というか、いい加減な作りなのだが、何曲かの熱唱のためにも金銭と時間を割く価値はあるし、初来日時の様子を知らない後追いの世代にも、オーティス・クレイの魅力がなんだったのかが十分に伝わると思う。 それほど胸を打つ曲が含まれている。いま、このアルバムを聴きながらブログを書いている。やはり力作だと断言することに疑いの余地はない。いま、アルバムのタイトル曲がかかっている。この次の作品を聴けないのは本当に残念だ。


OTIS CLAY / オーティス・クレイ / TRUTH IS

現時点で未だに訃報を伝えないオフィシャルサイトを見ると、11月まで旺盛にライブを行っていたオーティス。今年の11月にはプエルトリコのブルース・フェスへの参戦も決定していたようだった。そのスケジュールを見ると胸が熱くなる。この人は本当に生涯現役を貫いたのだ。

どのような死因だったのかは知らない。願わくば、苦痛が伴うものや、周囲の人間に疎ましいと思わせるようなものでなければよかったとだけ思う。



今までありがとうございました。そしてこれからもお世話になります。












2016年1月7日木曜日

Sam Ock - In Ya Mellow Tone with Sam Ock


サム・オック? クックじゃなくて? サム・クックじゃないならおっくん? ふっくんつっくんおっくんの? 
などとつまらないギャグはともかく、ちょっと前に話題になっていたサム・オックの昨年の作品。



先述のとおり、俺からするとある意味で名前にインパクトを受けたほどだから、何者だと名前をググってみると天使のような声がウリだとか・・・。



はあ。天使ねえ・・・。アジア系というが、なんか画像も胡散臭いし・・・。

そんなネガティブな気分で聴いてみたのだが、くっだらない先入観なんか一発でふっとんだ。
1曲目のストリングスの使い方を聴いてすぐ気に入った。
アルバムタイトルがそのまんまという気持ちのいい音がそのまんま続く。
むしろその心地よさゆえに聞き流せてしまう、そんな軽さこそが難点といえば難点か。
そういう意味でブラコン的というか、AOR的というか、いわばBGMとしての機能性を追及しているというか、まあ、そういうスタイルだ。


しっかし世界には色んなヤツがいるもんだ。
そういう意味でも音楽は面白い。

2016年1月5日火曜日

Celebrating the Music of Inside Llewyn Davis

今さらだがHappy New Year。

大晦日は買出しに出かけ、メシ食って酒飲んだ。
テレビはすぐに見るのをやめた。
ガキの使いは笑ってはいけないどころかそもそもが笑えるほうがおかしい内容だったし、 格闘技はレーナの試合だけを見たが次の試合まで引っ張るのが長すぎてそっちに飽きてしまった。紅白に回すと星野源が気持ち悪いからすぐに見るのをやめた。

こいつら、いつまでこういうことを続けるつもりなんだ?

ずっと放置したきり一度も見ていなかったDVDを見た。
コーエン兄弟の「インサイド・オブ・ルーウィン・デイビス」。
デイブ・ヴァン・ロンクをモデルにしたやつ。
ルーウィン・デイビスは住む部屋もなく、他人のライブをぶち壊し、女を孕ませ、ヒッチハイクの先で邪魔になった猫を捨て、 泊めてくれた恩人を罵倒する。

ロンクがあそこまでどうしようもないやつだったのかは知らない。
以前、友部正人にロンクについてを質問したときは「ディランの自伝に書かれているまんま」と答えてくれた。
ディランの自伝に描かれてるロンクも、そしてロンク本人の自伝を読んでも、嫌いになれない。
なにより、肝心のロンクの音楽が大好きだ。

映画は見ていてつらかった。どうしてあんなことをやってしまうのか、すごくよくわかったから。
ルーウィン・デイビスが信じているカッコいいものと、周囲が誉めそやすものとの相違のギャップ。ルーウィン・デイビスは親しくしている(そして自分よりも人気がある)フォークシンガーの曲さえ内心でバカにしまくっている。にもかかわらず、彼が見下している連中よりも評価されることがない。
それどころか誰よりもうだつがあがらないざまだ。



ここ数日、Celecrating The Music Of Inside Llwyn Davisを聴く。
映画を元に発展した、フォークソングのイベントのライブアルバムだ。
誰がどう、とかそんな聴き方はしなかった。酔っ払っていたからだ。
どっちにしろどの曲の誰の演奏がよかった、とかそんな聴き方はどうでもいいアルバムであることは間違いないだろう。

ミルク・カートン・キッズのような正統派フォーキーはもちろんのこと、新作ではプログレッシヴ・アメリカーナとでもいいたくなるような作品を作ったパンチブラザーズや、コステロやジャック・ホワイトといったロックのビッグネームすら、ディラン以前のグリニッジ・ヴィレッジのフォークシーンと同化している。

このアルバムの感想は聴くたびに異なる。
まるで仮面をかぶっているようだと、もっと本来の個性を出すべきだと考えることもあれば、その同化ぶりに参加アーティストたちの深いリスペクトを痛感することもある。

たぶん、これから何度聴いてもこの二つの感想を行ったり来たりすることだろう。

参加者で驚いたのはボブ・ニューワースだ。まだやってるとは思わなかった。
現在76歳だという。










2025年再発&編集アルバムベスト

B ob Dylan - Through The Open Window: The Bootleg Series Vol. 18 Chance Operation - Place Kick Dead Famous People - Wild Young Ways Doc Pomu...