2015年12月30日水曜日

激怒憤慨失望落胆失笑アルバム・オブ・ザ・イヤー2015

  1. Bloodhound Gang - Hard-Off
  2. Charlie Brown Superstar - Afro Disco Funk
  3. Dub Pistols - Return of the Pistoleros
  4. Tess Parks and Anton Newcombe - I Declare Nothing
  5. The Weeknd - Beauty Behind The Madness
  6. Benjamin Booker - Live at Third Man Records
  7. Darlene Love - Introducing Darlene Love
  8. FKA Twigs - M3LL155X
  9. The Residents - Shadowland
  10. The The  - Hyena

要するに俺には合わなかったアルバムを10枚。

①は売れ線っぽいシンプルなロックと、EDMが交互に収録されている。俺、こういうの大嫌い。U2(というかボノ)を見るにつけ人間の下劣な部分を見せ付けられるようで辟易とさせられるが、タイプは違えど同じ種類の嫌悪感がこみあげる。

②はクソダサいディスコ。なんだこれ。こんなのリバイバルしてるのか。

③はリリース直後にもコキ下ろした記憶があるが、改めて聴き直すことでよい点が見えるかと思ったが、やはりダメだった。むしろ聴く前の期待感と最初の落胆、怒りが増幅して蘇るだけ。つくづくダサい。

④もひどい。音痴なねーちゃんがボーカルの、ふた昔前のクリエイションレコードに所属していたような時代錯誤のバンド。自分たちが思っているほどラジカルで尖っているわけでもないくせ、アーティスト気取りなのが鼻につく。二度と聴きたくないね。

⑤はマニア相手に評判なのでそれなりに聴きどころがあるのだろうと期待して購入したのだが、全然面白くない。なんだこの軽くて色気もない声? Rケリーみたいにトラックに惹き付けられるわけでもないし、ダンスミュージックとして機能しているわけでもなく、何もいいところがない。なんでこんなのが評価されているんだ? 本当にひどい。

⑥はあのラフトレードの秘蔵っ子的な黒人アーティスト。ファーストアルバムのレビューを見ても評価がメチャクチャ高いが、正直何がいいんだ? 少なくともこのライブ盤からは彼の魅力が何も伝わらない。このレベルならアメリカのローカルにゴロゴロいるのでは。

⑦に関しては、他のアルバムとは多少違う。もっといいやりかたがあったはずなのだ。なんでまたしてもスペクターサウンドの焼き直しに取り組むのだろう? という意味で落胆したので入れた。プロデューサーがEストリートバンドの人だからしょうがないんだろうが、バックの音がダサい。「バックコーラスの歌姫たち」でのクライマックスは間違いなくダーレン・ラブが歌う「Use Me」だったが、そういうゴスペル方面のアプローチを見せてくれるだろうと期待していたのだ。まさかこの期に及んでウォール・オブ・サウンドを80年代初頭っぽくやってみました、という一番つまらないやり方をするとは思わなかった。

⑧はファーストアルバムは評判になってたが、そちらは聴いてない。とりあえず大仰で、自分を謎めいて見せたいんだろうなということだけはわかるが、それ以外はよくわからんね。そうした作為めいた戦略臭さがビョークに通じるものを感じて嫌い。そもそもがなぜわからないのかと考えさせることもない音楽で、最初から縁がなかったんだろうな。

⑨は水木しげる追悼ということで聴いてみたレジデンツの新譜。まだやってるんですね・・・。あの目玉の格好はやめたみたいで、スプラッタ風のかぶりものになっている。肝心の中身のほうも見たまんまというか、ホラービデオのサントラみたいな音楽。不安を喚起させる音楽をやりたいというのはわかるけど、ここまでベタベタだと最早コミックバンド。なんか失笑するしかない。別にこんなもん聴かなくてもいいでしょ。

⑩はマット・ジョンソンのザ・ザ。彼については90年代半ばあたりで興味を失したが、80年代から90年代初頭の諸作品はいまでも素晴らしいと思っているしたまに聴く。そのザ・ザの新作ということで興味深かったがなんか陰気くさい環境音楽みたいなインストばかり。なんじゃこりゃと思ったがどうやらサントラのようで。コンセプトがコンセプトだから叩こうとは思わないが、二度と聴くことはないので。

特に激怒・憤慨したのが①-⑤。


その他、激怒もガッカリもしなかったが、ただただ退屈という感想しか浮かばなかったのがビョーク、マシュー・スウィート、グライムス、アリソン・モーラー、PIL、スワンズ。
そこまでひどくはなかったが、イマイチということで印象的だったのがリヴォン・ヘルムの娘。




2015年ベスト=リイシュー・発掘編





  1. B.B. King - Here's One You Didn't Know About From The RPM & Kent Vaults
  2. Don Covay - Rockin' & Doowopin'
  3. Jerry Williams - Gone
  4. Johnny Adams - I Won't Cry 1959-1964
  5. Neil Young - Bluenote Café
  6. No More - A Rose Is a Rose
  7. Roger Hutcher - R&B Better
  8. VA - Avco Soul Empathy
  9. VA - Don't Fight It, Feel It Gems From The Sar Vaults 1959-1962 
  10. VA - Ork Records New York, New York
うわー、ロックが多いなあ。本当ならブラックミュージックがズラリと並ぶべきだったんだろうけど、今年の再発は面白くなかったからなあ。確かにACEやKENTは相変わらずのいい仕事をしていたんだけど。

①はそんなACEのいい仕事。追悼ということで編まれた普通のベストなんだろう、などと高をくくっていた自分が浅はかだった。なんと驚くRPM/ケント時代の未発表マテリアルを集めたもの。どの曲もお蔵入りになっていたのが不思議な出来で、毛穴が思わず開いてしまったほど。これは凄い!


②はここ数年、ソウルやオールディーズのファンなら要チェックのジャスミンが編んだ、ドン・コヴェイのアトランティック以前のロッキン・ドゥーワップなマテリアルを収録したもの。ブルース・アンド・ソウル・レコーズに鈴木啓志サンによる追悼記事が寄稿されたが、コヴェイのアルバム未収録曲の数は数十曲にのぼるという。50年代からのそうしたNot Onの楽曲をKENTあたりでシリーズ化して網羅してほしいと夢想していたが、ジャスミンがやってしまった。ノリノリでカッコいい曲ばかり。まだまだ残っているので今後にも期待。 ジャスミンからは同時期に出たジョー・テックスの初期レコーディング集もよく聴いた。


③は以前取り上げたので割愛。



④はACEからのジョニー・アダムス初期レコーディング集。以前も同様の編集版が出ていたが、音質やボリューム共にグレードアップ。ジョニー・アダムスのほか、ACEからはRIC/RON関係のリイシューがいくつか出ていたが、いずれもよかった。




⑤はニール・ヤングのライブ・アーカイブシリーズでも出色。今年出た新譜は、ジェームス・テイラーやリッキー・リーらと共に、悪くはないけれども聴かないだろうなという良くも悪くも予想どおりの出来だったが、こちらはよく聴いている。ボトムの効いたリズムセクションとソウルフルなホーンセクションのプレイがカッコいい。


⑥はドイツのポストパンクバンド。実は今年はDAFなんかもよく聴いたが、このアルバムもその一環? として聴いた。陰気でジワジワとしてカッコいい。


⑦はディスクユニオン傘下のKTIレーベルからのリイシュー。隠れ名盤に恥じない充実した内容。それにしても、昨年末から今年の春先まで順調にかっとばしてくれたのに今はサッパリのような。


⑧はビクターからのリリース。今年は国内盤のソウル編集盤の数が少なく面白くなかったが、これは内容・レア度ともに秀逸。ディープ、スウィートともにグレイト。文句があるのは値段だけかな。ウルトラヴァイブから出たブランズウィック/ダカーのコンピもよかった。



⑨はONEDAYからの廉価版。以前アブコから出たボックスセットにも収録されていない曲が収められているなど、廉価だからとあなどれないのがONEDAY/NOTNOWのすごさ。もちろん、サム・クック印のお墨付きだから内容も◎。



⑩はニューヨークパンクのコンピレーション。テレビジョンやリチャード・ヘル、アレックス・チルトンなど中高生時代のヒーローがズラリ。リチャード・ロイドのオーク音源ははじめて聴いたが、えらくカッコいい。特にフィーリーズのシングル音源が凄い。彼らのファーストは名盤だとつくづく思っているけれど、頭をガツンとやられた衝撃ならオーク音源が上。18,9で聴いていたら音楽観変わっていたかも。





考えてみたらKENTからの再発が1枚もないんだな。うーむ。ACEもニューオリンズものは充実していたが。ピケットのRCA時代の作品をコンパイルした2枚組は、なぜかピケットの声がウザく感じる時期(定期的に訪れる)なので除外。

ストーンズのスティッキーやディランのブートレグシリーズなどは、悪くはないがそれほどくりかえして聴いたわけでもないから除外。

国内のリイシューは低調。1000円シリーズがショボくなったからなあ。ファンクとブルースのは何枚か買ったが。名盤探検隊もボビー・キーズぐらいしか買わなかった。

それにしてもパンク系統をこういうのに選出する日がまた訪れるとは思わなかった。来年こそソウル関係のグッドなリイシューがバンバン出まくってくれることを切に望む。

次回はワースト。


2015年12月29日火曜日

2015年ベストアルバム(ロック編)



  1. Donnie Fritts - Oh My Goodness
  2. Fermin Muguruza - Nola Irun Meets New Orleans
  3. Jack + Eliza - Gentle Warnings
  4. Jim Lauderdale - Soul Searching, Vol.1 - Memphis
  5. Justin Townes Earle - Absent Fathers
  6. Keith Richards - Crosseyed Heart
  7. Post Script - If Not For You
  8. Punch Brothers-The Phosphorescent Blues
  9. Roadside Graves - Acne - Ears
  10. Shoos Off - Kiss the Television
  11. Steve Forbert - Compromised
今回はロック(カントリー、フォーク含む)編。今回も順位ではなく、アルファベット順。本当は10枚にするべきだったが、どうも選考に迷って11枚の選出。まあ、別に個人でやってるベストセレクションだから問題ないんだが。

 
①のドニー・フリッツは、基本的に「プローン・トゥ・ラーン」と同じ。その余にも変わらない様が神々しくさえあった。


②のフェルミン・ムグルサはフジロックにも出たことがあるスペインのロッカー。本作はニューオリンズ録音。元はスカパンクやハードコアパンクだったらしいが、ニューオリンズなアレンジにおいてもそうしたスピード感を伴ってい るのが凄い。バックの音の密度や圧力もかなりカッコいい。ロックからブラックミュージックに、ヨーロッパからアメリカ音楽にアプローチしたうちでは最も良質な成果のひとつ。



③はニューヨークの男女デュオ。実を言うと今年、このアルバムこそ最も聴いた新譜だ。余計なものをすべて排除した、歌の結晶のようなアルバム。本当ならなければならないはずのものさえ省いているのに、どうしてこんなに胸が締め付けられるかが不思議だ。ヤング・マーブル・ジャイアンツが持っていたある部分に水を与えたらこうなった、という感じ。2月の時点ではたちというから期待が持てるが不安でもある。今回の焼き直しじゃつまらないし、ゴテゴテと何かを加えても贅肉をつけたようにしか見えないだろうから。色んな意味で次に注目。



④はイントロでやられた。ニック・ ロウのコラポなどのキャリアがあるカントリー・シンガー、ジム・ランダーデイルによる、ロイヤルスタジオでの録音。タイトルから察するに原点回帰のため、 メンフィス(ブラックミュージック)とナッシュビル(カントリー)のそれぞれ2大聖地で名うてのミュージシャンと共にレコーディングした音源を2枚に分け ての新作で、こちらは前者。ルーサー・ディッキンソン、チャールズ・ホッジス、デビッド・フッド、スプーナー・オールダムなどバックの顔ぶれを見ただけで 濡れる。ウィリー・ミッチェルは当然いないわけだが、それでもなおハイ・サウンドを再現しているのが落涙必至。バックも相当だが、ランダーデイルのソングライティングやボーカルの味もかなりのも の。ナッシュビル編もかなりいい。

 
⑤はタウンズ・ヴァン・ザントの息子。前作の続編的なアルバ ムのようだが、そちらは未聴。前作が「Single Mothers」というだけあって、どのようなコンセプトのアルバムなのかは想像がつく。重苦しいわけでもなく、しかしぶっきらぼうでもなく、自分の内面 を吐露するかのようなボーカルとサウンドには好印象。傑作。



⑥は最高。食事から10分後に「腹減った、何も食ってねえ」と真顔で言い出しそうな佇まいの近年のキース。冒頭のヘタウマなブルースを聴いた当初は敬老精神を全開にして暖かく受け入れようと試みたが、2曲目でそんな生暖かい配慮は消えた。このじいさん、やっぱ只者じゃねえ。奇をてらうでもなく、変に力むでもなく、自然体で自分から溢れるものだけで出来ているアルバム。ディランもそうだが、無理に絞っているのではなくキースのなかから自然に溢れてくるもので作ったのが凄い。もうストーンズなんかやめてソロだけやってくれ、と言いたいぐらい最高だ。キース、ボケていたのは俺のほうだよ。


⑦はカナダの3人組のファースト。ジャケットが秀逸で、音楽性をよく表していると思う。似たようなアメリカーナに傾倒したシンガー、グループはたくさんあるのに何が違うんだろう? とりとめなく考えるが結論はでない。ああ。


⑧はアメリカ音楽の新しい可能性を広げたアルバム。実際に可能性云々などと評論家まがいのことを語れるほどアメリカ音楽を知悉しているわけではないからハッタリもいいところなのだが、そうした誇大妄想的な賛辞を捧げたくなるほどの傑作。編成や音色そのものがアメリカーナでありながらも、楽曲やアレンジが従来のそれとはまったく異なる個性的なバンド。


⑨は結構なキャリアとリリース枚数があるニュージャージーのロックバンド。パンクスにはぶん殴られそうだし、自分でもあんまり似てないとは思うのだが、なぜか初期のクラッシュと通じるものが伝わってくる。イデオロギーではなく、気持ちの部分で。そうだ、初期クラッシュとジェリー・ハリソンがいたころのモダンラヴァーズを合わせた感じだろうか? こういう弱いボーカルの楽曲は昔なじみのものか、よっぽど味があるもの以外は聴かないつもりだったのに、そんな決意を揺るがすような妙な魅力がある。


⑩は今年発掘したロック系の若手ではジャック+エリザと並んで気に入っている。Bandcampで発見した西海岸のポップグループ。同サイトではR&B SOUL FUNK HIP-HOPとタグづけされているが、ブラックそのものを志向しているというよりは、そうしたブラックミュージックの影響を強く受けたポップグループという印象が強い。地に足がついていないようなふわふわしたトラックの音、情けないファルセットの声、マイナーを多様したコード進行が切なくてたまらない。こんなショボいグループがどうしてこんなに琴線をくすぐるのか、本当にそれが不思議。


⑪はベテランのSSW。正直なところその存在をずっと忘れていたが、 本当に胸に染みた。他の誰かだと短所になるような部分が実に力みがちで不器用な歌い方がたまらなくいい。サウンド的にわかりやすいコンセプトはない。昔から続けてるようにあたりまえに作った曲を、当たり前にうたって、レコーディングしただけだ。そのあたりまえさが実に刺さる。



次点として印象に残ったアルバムは以下のとおり。

Dale Watson - Call Me Insane
Blackberry'N Mr. Boo-Hoo - The Many Sides Of…
Bob Dylan - Shadows in the Night
Danny Kroha - Angels Watching Over Me
Elliott Murphy - Aquashow Deconstructed
Elvis Perkins - I Aubade
Emmylou Harris & Rodney Crowell- The Traveling Kind
J.D. Souther - Tenderness
Jesse Malin - New York Before the War
Jesse Davey - Big Blues
Joseph Arthur - Days of Surrender
Lillie Mae Rische - Rain On the Piano
Mark Ronson - Uptown Funk
Megan Dooley - Made in Kalamazoo
Mekons & Robbie Fulks - Jura
Milk Carton Kids - Monterey
Nathaniel Rateliff - Nathaniel Rateliff & The Night Sweats 
Pokey LaFarge - Something In The Water
Rhiannon Giddens - Tomorrow Is My Turn
Ryan Adams - Live At Carnegie Hall
Ryley Walker - Primrose Green
Sarah Gayle Meech - Tennessee Love Song
Shawn Colvin - Uncovered 
Shovels & Rope - Busted Jukebox Vol.1
Slim Bawb & the Fabulous Stumpgrinders - Ain't My Monkey
Southside Johnny & The Asbury Jukes - Soultime
Steve Earle - Terraplane
Sufjan Stevens - Carrie & Lowell
Los Texmaniacs - Americano Groove
They Might Be Giants - why
Tobias Jesso Jr. - Goon



・・・多すぎだろ!
これでもかなり絞ったんだけどなあ。

カントリー、ウェスタン・スウィング、ベテランのロック、ホワイトブルース、SSW・・・どれも聴き応えがあった一年、下半期は久々にそのあたりにどっぷりハマりました。
ソウルものの再発がイマイチ活発ではなかったせいか、ここ10年では白人の新譜を最も聞いたと思うし、新しい出会いと発見とがあった1年で充実していた。

その他、レゲエではアイ・コングとライオンズ、アフロビートではフランスのフレレス・スミス、英語圏以外のブルースではアルゼンチンの Nico Smoljan & Shakedancersがよかった。
J-POPは片手も聴いていないが、正直どれもイマイチ。

次回はリイシュー・発掘もののベストを選出。















 



2015年ベストアルバム(ブラックミュージック編)





  1. Big Jay McNeely - Life Story
  2. Boukou Groove - Let the Groove Ride 
  3. David Beasley's Fabulous Ebonys
  4. Grace Love and the True Loves
  5. Jon Cleary - GoGo Juice 
  6. Judith Hill - Back In Time
  7. Saun & Starr - Look Closer
  8. Sharon Jones & The Dap-Kings - It's a Holiday Soul Party  
  9.  Sherwood Flemming - Blues,Blues,Blues
  10. Speedometer - No Turning Back

邦楽ベスト選出はどこへやら(そのうちやる予定)、今年のベストアルバムを選出してみた。ちなみに数字は順位ではなく、アルファベット順。

①のビッグ・ジェイはamazonを通して入手したのが今年のことで、リリース表記も2015年となっているがBear Familyのサイトでは2012年となっており、おそらくそちらが正確なのだろう。まあ、御年88歳のビッグ・ジェイからすりゃ数ヶ月前のことも3年前のことも大差ないだろう。 先月にも来日してライブをやってのけたというから凄い。20年近く前のブルース&ソウル・レコーズ誌における来日時のインタビューで、既にバイタリティ溢れた爺さんとして扱われていたが、それからなお米寿を過ぎて本来なら認知症で老人ホーム暮らしでもおかしくない年齢に達しながらも、相変わらずブロウしまくりなのは凄すぎる。本作に関しては相変わらずっちゃそこまでだが、この時代この年齢にその相変わらずをやってのけるというのはあらゆる意味で尋常ではない。もう世界遺産でしょ。


②のBoukou Grooveはピーター・バラカンの肝煎りで日本でも知名度を持つグループ。ファルセットが強力なシンガーが白人で、演奏が黒人だというのがユニーク。ミディアム、ファンクといずれも魅力的。 まだ隠してそうな感じがするのは深読みか、それともまだ物足りないのか。


③はあのエヴォニーズ。どうせショボい打ち込み、劣化した声、情けないサウンドでやっつけたダサダサな新曲とお蔵入りのボツ曲の寄せ集めだろうと思っていた。実際にややそんなもんなんだが、ああ、ああ。なんて俺は浅墓なんだ馬鹿なんだ愚かなんだ単純なんだ。このアルバムは極めてまっとうで正当で切なくて胸が乱れるようなやつだった。昔の焼き直しでもな く、今に追随しているのでもなく、ただあたりまえのエボニーズをやっている。「It's Forever」のリメイクも入っている。昔に比べるとやはり声は落ちている? いや、そんな重箱の隅をつくような比較なんか意味はない。このアルバムに 収められている現在のエボニーズ、それそのものがたまらない。現役感たっぷりな、いまなお有効なソウル・ミュージック。ありがとう!



④は ラシックソウル・リバイバル・グループのファースト・アルバム。Daptone所属かと思ったけど違うのか。ファンクよりもSTAXのカラーが強い印象で、シンガーもバンドもかなりイケている。もっとこんなシンガーやバンドが出てくればいいな。今後の期待もこめて。


⑤は白人のアルバムだが、まあ、こっちにカテゴライズしても問題ないだろう。まったくもって正しいアルバム、正しい音楽。色んな音楽が好きだけど、やっぱりこういうのが大好き。やっぱりニューオリンズ音楽は音楽のホームラン王だと再確認。


⑥のジュディス・ヒルは 「バックコーラスの歌姫たち」に出演していた、マイケルのバックボーカルだっ た人。アジア系っぽい顔立ちだと思ったらお母さんが日本人なんだね。そんな人がプリンスのNPGレーベルからリリースしたファースト・アルバム。なにから なにまで話題性は十分だと思うんだが、実際はどうなんだろうか。肝心のサウンドもファンキーでカッコいい。売れてほしい、などと普段はまるで考えないこと を願ってしまうのはあの映画で苦労人ぶりを見てしまったからだろうな。


⑦はシャロン・ジョーンズのバックボーカルである女性二人のデュオ、 ファーストアルバム。当然にしてダップトーンからのリリースで、バックはダップキングス。当然にしてディープだが、ダップトーンズよりもメロウな側面が濃い。それにしてもストロングすぎる聴き応え。たぶん今年の新譜でもっともリピートした一枚だろう。


⑧のシャロン・ジョーンズ&ダップトーンズの新作はクリスマスアルバムという企画ものだが、いいものはいい。スタンダード・ナンバーをダップキングス節で展開している。うんざりするほどクリスマス・アルバムが存在するソウル界だが、カッコよさという点ではピカイチ。クリスマスが過ぎても、春が来ても、夏が来ても、秋が来ても・・・とジュリーのダーリンの歌詞みたいだが、 季節不問で聴きたくなるカッコよさ。


⑨はP-VINEからもリリースされたテキサスのブルースマン。確かP-VINE創始者の日暮&高地コンビが大絶賛して、ディスクユニオンから国内盤も出た(もうP-VINE=スペースシャワーはブルースを見切ったってこと?)。俺が聴いたのは輸入盤だが、そんなこたあどうでもいい。これは凄い。グイグイくる音の圧力や太さも、かつてのファットポッサムのような過剰なものではなく、自然に溢れたもののように聴こえる。ブルースの、ブラックミュージックの魅力がバンバンに詰まってる。


⑩はイギリスのディープファンクバンドが、ジェームス・ジュニアというシンガーをゲストボーカルに迎えて作ったアルバム。単なるリバイバルやフォロワーという次元を超えており、レジェンドたちの名盤と並べても遜色ないと思わせるようなカッコいい一線級のファンク・ミュージックになっている。




次点として以下のアルバム。

Bettye Lavette - Worthy
Con Funk Shun - More Than Love
Billy Price and Otis Clay - This Time For Real
Da Liberal Soul - Fresh Oil
Eddie Cotton - One At A Time
George Porter Jr. - It's Time to Funk
Jessica Care Moore - Black Tea The Legend of Jessi James
Jill Scott - Woman
King Louie & LaRhonda Steele - Rock Me Baby
Koka Mass Jazz - Groovy Jam Shoes
Leon Bridges - Coming Home
Mighty Sam McClain & Knut Reiersrud - Tears of the World
Prince - HITNRUN Phase One
Reverend KM Williams - New Spirituals 
Sonny Knight & The Lakers - Do It Live
Tamar Braxton – Calling All Lovers
Tim Rogers & The Bamboos - The Rules of Attraction
Tyrese – Black Rose
Wee Willie Walker - If Nothing Ever Changes

って、次点にしてはメチャクチャありすぎるなあ・・・。

今年はガツンとくる作品は少なかったかも知れないけれど、なかなか粒は揃っていたと思う。
特にディープファンクバンドとベテランのコラポに楽しめる作品が多かった。
ブルースもここに挙げたもの以外に、白人でもいい作品がいくつかあった。来年もブログが続いたら、ブルースは人種不問で独立して選出しようかしら。

この中には入れなかったが、Rケリーやモニカの新作を聴いてビルボードにランクインするようなメインストリームものに関していろいろと考えさせられた。とにかく日本の格闘技界ばりに若手が育たないシーンになってしまった。
ヒップホップで今年ガツンときたのはジェシカ・ケア・ムーアぐらいで、それ以外は話題のケンドリック・ラマーすら個人的にはイマイチ。
東欧のコカ・マス・ジャズやオーストラリアのバンブーズ、モジョ・ジュジュなどのように、USやUK以外のファンクやソウルを志向するアーティストも何気に要注意。

次回はロックの年間ベストを選出してみます。



2025年再発&編集アルバムベスト

B ob Dylan - Through The Open Window: The Bootleg Series Vol. 18 Chance Operation - Place Kick Dead Famous People - Wild Young Ways Doc Pomu...