2015年ベストアルバム(ブラックミュージック編)
- Big Jay McNeely - Life Story
- Boukou Groove - Let the Groove Ride
- David Beasley's Fabulous Ebonys
- Grace Love and the True Loves
- Jon Cleary - GoGo Juice
- Judith Hill - Back In Time
- Saun & Starr - Look Closer
- Sharon Jones & The Dap-Kings - It's a Holiday Soul Party
- Sherwood Flemming - Blues,Blues,Blues
- Speedometer - No Turning Back
邦楽ベスト選出はどこへやら(そのうちやる予定)、今年のベストアルバムを選出してみた。ちなみに数字は順位ではなく、アルファベット順。
①のビッグ・ジェイはamazonを通して入手したのが今年のことで、リリース表記も2015年となっているがBear Familyのサイトでは2012年となっており、おそらくそちらが正確なのだろう。まあ、御年88歳のビッグ・ジェイからすりゃ数ヶ月前のことも3年前のことも大差ないだろう。 先月にも来日してライブをやってのけたというから凄い。20年近く前のブルース&ソウル・レコーズ誌における来日時のインタビューで、既にバイタリティ溢れた爺さんとして扱われていたが、それからなお米寿を過ぎて本来なら認知症で老人ホーム暮らしでもおかしくない年齢に達しながらも、相変わらずブロウしまくりなのは凄すぎる。本作に関しては相変わらずっちゃそこまでだが、この時代この年齢にその相変わらずをやってのけるというのはあらゆる意味で尋常ではない。もう世界遺産でしょ。
②のBoukou Grooveはピーター・バラカンの肝煎りで日本でも知名度を持つグループ。ファルセットが強力なシンガーが白人で、演奏が黒人だというのがユニーク。ミディアム、ファンクといずれも魅力的。 まだ隠してそうな感じがするのは深読みか、それともまだ物足りないのか。
③はあのエヴォニーズ。どうせショボい打ち込み、劣化した声、情けないサウンドでやっつけたダサダサな新曲とお蔵入りのボツ曲の寄せ集めだろうと思っていた。実際にややそんなもんなんだが、ああ、ああ。なんて俺は浅墓なんだ馬鹿なんだ愚かなんだ単純なんだ。このアルバムは極めてまっとうで正当で切なくて胸が乱れるようなやつだった。昔の焼き直しでもな く、今に追随しているのでもなく、ただあたりまえのエボニーズをやっている。「It's Forever」のリメイクも入っている。昔に比べるとやはり声は落ちている? いや、そんな重箱の隅をつくような比較なんか意味はない。このアルバムに 収められている現在のエボニーズ、それそのものがたまらない。現役感たっぷりな、いまなお有効なソウル・ミュージック。ありがとう!
④は ラシックソウル・リバイバル・グループのファースト・アルバム。Daptone所属かと思ったけど違うのか。ファンクよりもSTAXのカラーが強い印象で、シンガーもバンドもかなりイケている。もっとこんなシンガーやバンドが出てくればいいな。今後の期待もこめて。
⑤は白人のアルバムだが、まあ、こっちにカテゴライズしても問題ないだろう。まったくもって正しいアルバム、正しい音楽。色んな音楽が好きだけど、やっぱりこういうのが大好き。やっぱりニューオリンズ音楽は音楽のホームラン王だと再確認。
⑥のジュディス・ヒルは 「バックコーラスの歌姫たち」に出演していた、マイケルのバックボーカルだっ た人。アジア系っぽい顔立ちだと思ったらお母さんが日本人なんだね。そんな人がプリンスのNPGレーベルからリリースしたファースト・アルバム。なにから なにまで話題性は十分だと思うんだが、実際はどうなんだろうか。肝心のサウンドもファンキーでカッコいい。売れてほしい、などと普段はまるで考えないこと を願ってしまうのはあの映画で苦労人ぶりを見てしまったからだろうな。
⑦はシャロン・ジョーンズのバックボーカルである女性二人のデュオ、 ファーストアルバム。当然にしてダップトーンからのリリースで、バックはダップキングス。当然にしてディープだが、ダップトーンズよりもメロウな側面が濃い。それにしてもストロングすぎる聴き応え。たぶん今年の新譜でもっともリピートした一枚だろう。
⑧のシャロン・ジョーンズ&ダップトーンズの新作はクリスマスアルバムという企画ものだが、いいものはいい。スタンダード・ナンバーをダップキングス節で展開している。うんざりするほどクリスマス・アルバムが存在するソウル界だが、カッコよさという点ではピカイチ。クリスマスが過ぎても、春が来ても、夏が来ても、秋が来ても・・・とジュリーのダーリンの歌詞みたいだが、 季節不問で聴きたくなるカッコよさ。
⑨はP-VINEからもリリースされたテキサスのブルースマン。確かP-VINE創始者の日暮&高地コンビが大絶賛して、ディスクユニオンから国内盤も出た(もうP-VINE=スペースシャワーはブルースを見切ったってこと?)。俺が聴いたのは輸入盤だが、そんなこたあどうでもいい。これは凄い。グイグイくる音の圧力や太さも、かつてのファットポッサムのような過剰なものではなく、自然に溢れたもののように聴こえる。ブルースの、ブラックミュージックの魅力がバンバンに詰まってる。
⑩はイギリスのディープファンクバンドが、ジェームス・ジュニアというシンガーをゲストボーカルに迎えて作ったアルバム。単なるリバイバルやフォロワーという次元を超えており、レジェンドたちの名盤と並べても遜色ないと思わせるようなカッコいい一線級のファンク・ミュージックになっている。
次点として以下のアルバム。
Bettye Lavette - Worthy
Con Funk Shun - More Than Love
Billy Price and Otis Clay - This Time For Real
Da Liberal Soul - Fresh Oil
Eddie Cotton - One At A Time
George Porter Jr. - It's Time to Funk
Jessica Care Moore - Black Tea The Legend of Jessi James
Jill Scott - Woman
King Louie & LaRhonda Steele - Rock Me Baby
Koka Mass Jazz - Groovy Jam Shoes
Leon Bridges - Coming Home
Mighty Sam McClain & Knut Reiersrud - Tears of the World
Prince - HITNRUN Phase One
Reverend KM Williams - New Spirituals
Sonny Knight & The Lakers - Do It Live
Tamar Braxton – Calling All Lovers
Tim Rogers & The Bamboos - The Rules of Attraction Tyrese – Black Rose
Wee Willie Walker - If Nothing Ever Changes
って、次点にしてはメチャクチャありすぎるなあ・・・。
今年はガツンとくる作品は少なかったかも知れないけれど、なかなか粒は揃っていたと思う。
特にディープファンクバンドとベテランのコラポに楽しめる作品が多かった。
ブルースもここに挙げたもの以外に、白人でもいい作品がいくつかあった。来年もブログが続いたら、ブルースは人種不問で独立して選出しようかしら。
この中には入れなかったが、Rケリーやモニカの新作を聴いてビルボードにランクインするようなメインストリームものに関していろいろと考えさせられた。とにかく日本の格闘技界ばりに若手が育たないシーンになってしまった。
ヒップホップで今年ガツンときたのはジェシカ・ケア・ムーアぐらいで、それ以外は話題のケンドリック・ラマーすら個人的にはイマイチ。
東欧のコカ・マス・ジャズやオーストラリアのバンブーズ、モジョ・ジュジュなどのように、USやUK以外のファンクやソウルを志向するアーティストも何気に要注意。
次回はロックの年間ベストを選出してみます。
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