Rolling Stones - Blue & Lonesome

実をいうと2016年の秋から末にかけて、最も多く聴いたアーティストは他でもないローリング・ストーンズだった。
厳密にいうと「ベガーズ・バンケット」から「メインストリートのならず者」までのローリング・ストーンズだ。

とはいえ、そんな時期にリリースされた「ブルー&ロンサム」は自分の中で評価が難しいアルバムだった。
ブルースアルバムというのは知っていたが、最初に聴いたときは、極めてまっとうにブルースをやっているなと驚いた。
デビュー時がそうだったし、ミック・テイラーのときもそうだったが、まっとうにやっているはずでもストーンズのブルースはどこが違っていた。なにかズレていた。本人たちの真意はともかく、少なくとも俺にはそう聴こえた。そしてそのズレ具合こそがストーンズを凡百のホワイトブルースバンドとストーンズとの圧倒的な差異なのだと俺は思っていた。

今回のまっとうなブルースへの姿勢は、そうしたストーンズの個性を殺ぐものではないだろうかと違和感を抱いた。余りにも、余りにもまっとうすぎる。ビッグ・ジョン・アトキンソンあたりがこうして正面からブルースにとりくむのはともかく、ストーンズがそうであるのは何か違うような気がする。

だが、駄作だの失敗作だの凡作だのと言えない。
これだけは間違いない。
少なくとも、90年代に入ってからのストーンズの中では今のところこれが一番いいことは事実だ。
ミックの声も、メンバーの演奏も、驚くほど若々しく、そのくせ唸るほど老獪。
近況報告とするには余りにもエナジーが溢れているのだ。

エネルギー+ブルースへの愛情。これだけでも圧倒的なはずなのにもう少しなにかほしかった気がするのは俺が贅沢なのか、単にひねくれているのか。あるいはオリジナルとの比べてしまうせいか。

そのナゾについて考えてしまうのだが、その時点でストーンズの勝ちなのかもな。










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