2015年12月30日水曜日

激怒憤慨失望落胆失笑アルバム・オブ・ザ・イヤー2015

  1. Bloodhound Gang - Hard-Off
  2. Charlie Brown Superstar - Afro Disco Funk
  3. Dub Pistols - Return of the Pistoleros
  4. Tess Parks and Anton Newcombe - I Declare Nothing
  5. The Weeknd - Beauty Behind The Madness
  6. Benjamin Booker - Live at Third Man Records
  7. Darlene Love - Introducing Darlene Love
  8. FKA Twigs - M3LL155X
  9. The Residents - Shadowland
  10. The The  - Hyena

要するに俺には合わなかったアルバムを10枚。

①は売れ線っぽいシンプルなロックと、EDMが交互に収録されている。俺、こういうの大嫌い。U2(というかボノ)を見るにつけ人間の下劣な部分を見せ付けられるようで辟易とさせられるが、タイプは違えど同じ種類の嫌悪感がこみあげる。

②はクソダサいディスコ。なんだこれ。こんなのリバイバルしてるのか。

③はリリース直後にもコキ下ろした記憶があるが、改めて聴き直すことでよい点が見えるかと思ったが、やはりダメだった。むしろ聴く前の期待感と最初の落胆、怒りが増幅して蘇るだけ。つくづくダサい。

④もひどい。音痴なねーちゃんがボーカルの、ふた昔前のクリエイションレコードに所属していたような時代錯誤のバンド。自分たちが思っているほどラジカルで尖っているわけでもないくせ、アーティスト気取りなのが鼻につく。二度と聴きたくないね。

⑤はマニア相手に評判なのでそれなりに聴きどころがあるのだろうと期待して購入したのだが、全然面白くない。なんだこの軽くて色気もない声? Rケリーみたいにトラックに惹き付けられるわけでもないし、ダンスミュージックとして機能しているわけでもなく、何もいいところがない。なんでこんなのが評価されているんだ? 本当にひどい。

⑥はあのラフトレードの秘蔵っ子的な黒人アーティスト。ファーストアルバムのレビューを見ても評価がメチャクチャ高いが、正直何がいいんだ? 少なくともこのライブ盤からは彼の魅力が何も伝わらない。このレベルならアメリカのローカルにゴロゴロいるのでは。

⑦に関しては、他のアルバムとは多少違う。もっといいやりかたがあったはずなのだ。なんでまたしてもスペクターサウンドの焼き直しに取り組むのだろう? という意味で落胆したので入れた。プロデューサーがEストリートバンドの人だからしょうがないんだろうが、バックの音がダサい。「バックコーラスの歌姫たち」でのクライマックスは間違いなくダーレン・ラブが歌う「Use Me」だったが、そういうゴスペル方面のアプローチを見せてくれるだろうと期待していたのだ。まさかこの期に及んでウォール・オブ・サウンドを80年代初頭っぽくやってみました、という一番つまらないやり方をするとは思わなかった。

⑧はファーストアルバムは評判になってたが、そちらは聴いてない。とりあえず大仰で、自分を謎めいて見せたいんだろうなということだけはわかるが、それ以外はよくわからんね。そうした作為めいた戦略臭さがビョークに通じるものを感じて嫌い。そもそもがなぜわからないのかと考えさせることもない音楽で、最初から縁がなかったんだろうな。

⑨は水木しげる追悼ということで聴いてみたレジデンツの新譜。まだやってるんですね・・・。あの目玉の格好はやめたみたいで、スプラッタ風のかぶりものになっている。肝心の中身のほうも見たまんまというか、ホラービデオのサントラみたいな音楽。不安を喚起させる音楽をやりたいというのはわかるけど、ここまでベタベタだと最早コミックバンド。なんか失笑するしかない。別にこんなもん聴かなくてもいいでしょ。

⑩はマット・ジョンソンのザ・ザ。彼については90年代半ばあたりで興味を失したが、80年代から90年代初頭の諸作品はいまでも素晴らしいと思っているしたまに聴く。そのザ・ザの新作ということで興味深かったがなんか陰気くさい環境音楽みたいなインストばかり。なんじゃこりゃと思ったがどうやらサントラのようで。コンセプトがコンセプトだから叩こうとは思わないが、二度と聴くことはないので。

特に激怒・憤慨したのが①-⑤。


その他、激怒もガッカリもしなかったが、ただただ退屈という感想しか浮かばなかったのがビョーク、マシュー・スウィート、グライムス、アリソン・モーラー、PIL、スワンズ。
そこまでひどくはなかったが、イマイチということで印象的だったのがリヴォン・ヘルムの娘。




2015年ベスト=リイシュー・発掘編





  1. B.B. King - Here's One You Didn't Know About From The RPM & Kent Vaults
  2. Don Covay - Rockin' & Doowopin'
  3. Jerry Williams - Gone
  4. Johnny Adams - I Won't Cry 1959-1964
  5. Neil Young - Bluenote Café
  6. No More - A Rose Is a Rose
  7. Roger Hutcher - R&B Better
  8. VA - Avco Soul Empathy
  9. VA - Don't Fight It, Feel It Gems From The Sar Vaults 1959-1962 
  10. VA - Ork Records New York, New York
うわー、ロックが多いなあ。本当ならブラックミュージックがズラリと並ぶべきだったんだろうけど、今年の再発は面白くなかったからなあ。確かにACEやKENTは相変わらずのいい仕事をしていたんだけど。

①はそんなACEのいい仕事。追悼ということで編まれた普通のベストなんだろう、などと高をくくっていた自分が浅はかだった。なんと驚くRPM/ケント時代の未発表マテリアルを集めたもの。どの曲もお蔵入りになっていたのが不思議な出来で、毛穴が思わず開いてしまったほど。これは凄い!


②はここ数年、ソウルやオールディーズのファンなら要チェックのジャスミンが編んだ、ドン・コヴェイのアトランティック以前のロッキン・ドゥーワップなマテリアルを収録したもの。ブルース・アンド・ソウル・レコーズに鈴木啓志サンによる追悼記事が寄稿されたが、コヴェイのアルバム未収録曲の数は数十曲にのぼるという。50年代からのそうしたNot Onの楽曲をKENTあたりでシリーズ化して網羅してほしいと夢想していたが、ジャスミンがやってしまった。ノリノリでカッコいい曲ばかり。まだまだ残っているので今後にも期待。 ジャスミンからは同時期に出たジョー・テックスの初期レコーディング集もよく聴いた。


③は以前取り上げたので割愛。



④はACEからのジョニー・アダムス初期レコーディング集。以前も同様の編集版が出ていたが、音質やボリューム共にグレードアップ。ジョニー・アダムスのほか、ACEからはRIC/RON関係のリイシューがいくつか出ていたが、いずれもよかった。




⑤はニール・ヤングのライブ・アーカイブシリーズでも出色。今年出た新譜は、ジェームス・テイラーやリッキー・リーらと共に、悪くはないけれども聴かないだろうなという良くも悪くも予想どおりの出来だったが、こちらはよく聴いている。ボトムの効いたリズムセクションとソウルフルなホーンセクションのプレイがカッコいい。


⑥はドイツのポストパンクバンド。実は今年はDAFなんかもよく聴いたが、このアルバムもその一環? として聴いた。陰気でジワジワとしてカッコいい。


⑦はディスクユニオン傘下のKTIレーベルからのリイシュー。隠れ名盤に恥じない充実した内容。それにしても、昨年末から今年の春先まで順調にかっとばしてくれたのに今はサッパリのような。


⑧はビクターからのリリース。今年は国内盤のソウル編集盤の数が少なく面白くなかったが、これは内容・レア度ともに秀逸。ディープ、スウィートともにグレイト。文句があるのは値段だけかな。ウルトラヴァイブから出たブランズウィック/ダカーのコンピもよかった。



⑨はONEDAYからの廉価版。以前アブコから出たボックスセットにも収録されていない曲が収められているなど、廉価だからとあなどれないのがONEDAY/NOTNOWのすごさ。もちろん、サム・クック印のお墨付きだから内容も◎。



⑩はニューヨークパンクのコンピレーション。テレビジョンやリチャード・ヘル、アレックス・チルトンなど中高生時代のヒーローがズラリ。リチャード・ロイドのオーク音源ははじめて聴いたが、えらくカッコいい。特にフィーリーズのシングル音源が凄い。彼らのファーストは名盤だとつくづく思っているけれど、頭をガツンとやられた衝撃ならオーク音源が上。18,9で聴いていたら音楽観変わっていたかも。





考えてみたらKENTからの再発が1枚もないんだな。うーむ。ACEもニューオリンズものは充実していたが。ピケットのRCA時代の作品をコンパイルした2枚組は、なぜかピケットの声がウザく感じる時期(定期的に訪れる)なので除外。

ストーンズのスティッキーやディランのブートレグシリーズなどは、悪くはないがそれほどくりかえして聴いたわけでもないから除外。

国内のリイシューは低調。1000円シリーズがショボくなったからなあ。ファンクとブルースのは何枚か買ったが。名盤探検隊もボビー・キーズぐらいしか買わなかった。

それにしてもパンク系統をこういうのに選出する日がまた訪れるとは思わなかった。来年こそソウル関係のグッドなリイシューがバンバン出まくってくれることを切に望む。

次回はワースト。


2015年12月29日火曜日

2015年ベストアルバム(ロック編)



  1. Donnie Fritts - Oh My Goodness
  2. Fermin Muguruza - Nola Irun Meets New Orleans
  3. Jack + Eliza - Gentle Warnings
  4. Jim Lauderdale - Soul Searching, Vol.1 - Memphis
  5. Justin Townes Earle - Absent Fathers
  6. Keith Richards - Crosseyed Heart
  7. Post Script - If Not For You
  8. Punch Brothers-The Phosphorescent Blues
  9. Roadside Graves - Acne - Ears
  10. Shoos Off - Kiss the Television
  11. Steve Forbert - Compromised
今回はロック(カントリー、フォーク含む)編。今回も順位ではなく、アルファベット順。本当は10枚にするべきだったが、どうも選考に迷って11枚の選出。まあ、別に個人でやってるベストセレクションだから問題ないんだが。

 
①のドニー・フリッツは、基本的に「プローン・トゥ・ラーン」と同じ。その余にも変わらない様が神々しくさえあった。


②のフェルミン・ムグルサはフジロックにも出たことがあるスペインのロッカー。本作はニューオリンズ録音。元はスカパンクやハードコアパンクだったらしいが、ニューオリンズなアレンジにおいてもそうしたスピード感を伴ってい るのが凄い。バックの音の密度や圧力もかなりカッコいい。ロックからブラックミュージックに、ヨーロッパからアメリカ音楽にアプローチしたうちでは最も良質な成果のひとつ。



③はニューヨークの男女デュオ。実を言うと今年、このアルバムこそ最も聴いた新譜だ。余計なものをすべて排除した、歌の結晶のようなアルバム。本当ならなければならないはずのものさえ省いているのに、どうしてこんなに胸が締め付けられるかが不思議だ。ヤング・マーブル・ジャイアンツが持っていたある部分に水を与えたらこうなった、という感じ。2月の時点ではたちというから期待が持てるが不安でもある。今回の焼き直しじゃつまらないし、ゴテゴテと何かを加えても贅肉をつけたようにしか見えないだろうから。色んな意味で次に注目。



④はイントロでやられた。ニック・ ロウのコラポなどのキャリアがあるカントリー・シンガー、ジム・ランダーデイルによる、ロイヤルスタジオでの録音。タイトルから察するに原点回帰のため、 メンフィス(ブラックミュージック)とナッシュビル(カントリー)のそれぞれ2大聖地で名うてのミュージシャンと共にレコーディングした音源を2枚に分け ての新作で、こちらは前者。ルーサー・ディッキンソン、チャールズ・ホッジス、デビッド・フッド、スプーナー・オールダムなどバックの顔ぶれを見ただけで 濡れる。ウィリー・ミッチェルは当然いないわけだが、それでもなおハイ・サウンドを再現しているのが落涙必至。バックも相当だが、ランダーデイルのソングライティングやボーカルの味もかなりのも の。ナッシュビル編もかなりいい。

 
⑤はタウンズ・ヴァン・ザントの息子。前作の続編的なアルバ ムのようだが、そちらは未聴。前作が「Single Mothers」というだけあって、どのようなコンセプトのアルバムなのかは想像がつく。重苦しいわけでもなく、しかしぶっきらぼうでもなく、自分の内面 を吐露するかのようなボーカルとサウンドには好印象。傑作。



⑥は最高。食事から10分後に「腹減った、何も食ってねえ」と真顔で言い出しそうな佇まいの近年のキース。冒頭のヘタウマなブルースを聴いた当初は敬老精神を全開にして暖かく受け入れようと試みたが、2曲目でそんな生暖かい配慮は消えた。このじいさん、やっぱ只者じゃねえ。奇をてらうでもなく、変に力むでもなく、自然体で自分から溢れるものだけで出来ているアルバム。ディランもそうだが、無理に絞っているのではなくキースのなかから自然に溢れてくるもので作ったのが凄い。もうストーンズなんかやめてソロだけやってくれ、と言いたいぐらい最高だ。キース、ボケていたのは俺のほうだよ。


⑦はカナダの3人組のファースト。ジャケットが秀逸で、音楽性をよく表していると思う。似たようなアメリカーナに傾倒したシンガー、グループはたくさんあるのに何が違うんだろう? とりとめなく考えるが結論はでない。ああ。


⑧はアメリカ音楽の新しい可能性を広げたアルバム。実際に可能性云々などと評論家まがいのことを語れるほどアメリカ音楽を知悉しているわけではないからハッタリもいいところなのだが、そうした誇大妄想的な賛辞を捧げたくなるほどの傑作。編成や音色そのものがアメリカーナでありながらも、楽曲やアレンジが従来のそれとはまったく異なる個性的なバンド。


⑨は結構なキャリアとリリース枚数があるニュージャージーのロックバンド。パンクスにはぶん殴られそうだし、自分でもあんまり似てないとは思うのだが、なぜか初期のクラッシュと通じるものが伝わってくる。イデオロギーではなく、気持ちの部分で。そうだ、初期クラッシュとジェリー・ハリソンがいたころのモダンラヴァーズを合わせた感じだろうか? こういう弱いボーカルの楽曲は昔なじみのものか、よっぽど味があるもの以外は聴かないつもりだったのに、そんな決意を揺るがすような妙な魅力がある。


⑩は今年発掘したロック系の若手ではジャック+エリザと並んで気に入っている。Bandcampで発見した西海岸のポップグループ。同サイトではR&B SOUL FUNK HIP-HOPとタグづけされているが、ブラックそのものを志向しているというよりは、そうしたブラックミュージックの影響を強く受けたポップグループという印象が強い。地に足がついていないようなふわふわしたトラックの音、情けないファルセットの声、マイナーを多様したコード進行が切なくてたまらない。こんなショボいグループがどうしてこんなに琴線をくすぐるのか、本当にそれが不思議。


⑪はベテランのSSW。正直なところその存在をずっと忘れていたが、 本当に胸に染みた。他の誰かだと短所になるような部分が実に力みがちで不器用な歌い方がたまらなくいい。サウンド的にわかりやすいコンセプトはない。昔から続けてるようにあたりまえに作った曲を、当たり前にうたって、レコーディングしただけだ。そのあたりまえさが実に刺さる。



次点として印象に残ったアルバムは以下のとおり。

Dale Watson - Call Me Insane
Blackberry'N Mr. Boo-Hoo - The Many Sides Of…
Bob Dylan - Shadows in the Night
Danny Kroha - Angels Watching Over Me
Elliott Murphy - Aquashow Deconstructed
Elvis Perkins - I Aubade
Emmylou Harris & Rodney Crowell- The Traveling Kind
J.D. Souther - Tenderness
Jesse Malin - New York Before the War
Jesse Davey - Big Blues
Joseph Arthur - Days of Surrender
Lillie Mae Rische - Rain On the Piano
Mark Ronson - Uptown Funk
Megan Dooley - Made in Kalamazoo
Mekons & Robbie Fulks - Jura
Milk Carton Kids - Monterey
Nathaniel Rateliff - Nathaniel Rateliff & The Night Sweats 
Pokey LaFarge - Something In The Water
Rhiannon Giddens - Tomorrow Is My Turn
Ryan Adams - Live At Carnegie Hall
Ryley Walker - Primrose Green
Sarah Gayle Meech - Tennessee Love Song
Shawn Colvin - Uncovered 
Shovels & Rope - Busted Jukebox Vol.1
Slim Bawb & the Fabulous Stumpgrinders - Ain't My Monkey
Southside Johnny & The Asbury Jukes - Soultime
Steve Earle - Terraplane
Sufjan Stevens - Carrie & Lowell
Los Texmaniacs - Americano Groove
They Might Be Giants - why
Tobias Jesso Jr. - Goon



・・・多すぎだろ!
これでもかなり絞ったんだけどなあ。

カントリー、ウェスタン・スウィング、ベテランのロック、ホワイトブルース、SSW・・・どれも聴き応えがあった一年、下半期は久々にそのあたりにどっぷりハマりました。
ソウルものの再発がイマイチ活発ではなかったせいか、ここ10年では白人の新譜を最も聞いたと思うし、新しい出会いと発見とがあった1年で充実していた。

その他、レゲエではアイ・コングとライオンズ、アフロビートではフランスのフレレス・スミス、英語圏以外のブルースではアルゼンチンの Nico Smoljan & Shakedancersがよかった。
J-POPは片手も聴いていないが、正直どれもイマイチ。

次回はリイシュー・発掘もののベストを選出。















 



2015年ベストアルバム(ブラックミュージック編)





  1. Big Jay McNeely - Life Story
  2. Boukou Groove - Let the Groove Ride 
  3. David Beasley's Fabulous Ebonys
  4. Grace Love and the True Loves
  5. Jon Cleary - GoGo Juice 
  6. Judith Hill - Back In Time
  7. Saun & Starr - Look Closer
  8. Sharon Jones & The Dap-Kings - It's a Holiday Soul Party  
  9.  Sherwood Flemming - Blues,Blues,Blues
  10. Speedometer - No Turning Back

邦楽ベスト選出はどこへやら(そのうちやる予定)、今年のベストアルバムを選出してみた。ちなみに数字は順位ではなく、アルファベット順。

①のビッグ・ジェイはamazonを通して入手したのが今年のことで、リリース表記も2015年となっているがBear Familyのサイトでは2012年となっており、おそらくそちらが正確なのだろう。まあ、御年88歳のビッグ・ジェイからすりゃ数ヶ月前のことも3年前のことも大差ないだろう。 先月にも来日してライブをやってのけたというから凄い。20年近く前のブルース&ソウル・レコーズ誌における来日時のインタビューで、既にバイタリティ溢れた爺さんとして扱われていたが、それからなお米寿を過ぎて本来なら認知症で老人ホーム暮らしでもおかしくない年齢に達しながらも、相変わらずブロウしまくりなのは凄すぎる。本作に関しては相変わらずっちゃそこまでだが、この時代この年齢にその相変わらずをやってのけるというのはあらゆる意味で尋常ではない。もう世界遺産でしょ。


②のBoukou Grooveはピーター・バラカンの肝煎りで日本でも知名度を持つグループ。ファルセットが強力なシンガーが白人で、演奏が黒人だというのがユニーク。ミディアム、ファンクといずれも魅力的。 まだ隠してそうな感じがするのは深読みか、それともまだ物足りないのか。


③はあのエヴォニーズ。どうせショボい打ち込み、劣化した声、情けないサウンドでやっつけたダサダサな新曲とお蔵入りのボツ曲の寄せ集めだろうと思っていた。実際にややそんなもんなんだが、ああ、ああ。なんて俺は浅墓なんだ馬鹿なんだ愚かなんだ単純なんだ。このアルバムは極めてまっとうで正当で切なくて胸が乱れるようなやつだった。昔の焼き直しでもな く、今に追随しているのでもなく、ただあたりまえのエボニーズをやっている。「It's Forever」のリメイクも入っている。昔に比べるとやはり声は落ちている? いや、そんな重箱の隅をつくような比較なんか意味はない。このアルバムに 収められている現在のエボニーズ、それそのものがたまらない。現役感たっぷりな、いまなお有効なソウル・ミュージック。ありがとう!



④は ラシックソウル・リバイバル・グループのファースト・アルバム。Daptone所属かと思ったけど違うのか。ファンクよりもSTAXのカラーが強い印象で、シンガーもバンドもかなりイケている。もっとこんなシンガーやバンドが出てくればいいな。今後の期待もこめて。


⑤は白人のアルバムだが、まあ、こっちにカテゴライズしても問題ないだろう。まったくもって正しいアルバム、正しい音楽。色んな音楽が好きだけど、やっぱりこういうのが大好き。やっぱりニューオリンズ音楽は音楽のホームラン王だと再確認。


⑥のジュディス・ヒルは 「バックコーラスの歌姫たち」に出演していた、マイケルのバックボーカルだっ た人。アジア系っぽい顔立ちだと思ったらお母さんが日本人なんだね。そんな人がプリンスのNPGレーベルからリリースしたファースト・アルバム。なにから なにまで話題性は十分だと思うんだが、実際はどうなんだろうか。肝心のサウンドもファンキーでカッコいい。売れてほしい、などと普段はまるで考えないこと を願ってしまうのはあの映画で苦労人ぶりを見てしまったからだろうな。


⑦はシャロン・ジョーンズのバックボーカルである女性二人のデュオ、 ファーストアルバム。当然にしてダップトーンからのリリースで、バックはダップキングス。当然にしてディープだが、ダップトーンズよりもメロウな側面が濃い。それにしてもストロングすぎる聴き応え。たぶん今年の新譜でもっともリピートした一枚だろう。


⑧のシャロン・ジョーンズ&ダップトーンズの新作はクリスマスアルバムという企画ものだが、いいものはいい。スタンダード・ナンバーをダップキングス節で展開している。うんざりするほどクリスマス・アルバムが存在するソウル界だが、カッコよさという点ではピカイチ。クリスマスが過ぎても、春が来ても、夏が来ても、秋が来ても・・・とジュリーのダーリンの歌詞みたいだが、 季節不問で聴きたくなるカッコよさ。


⑨はP-VINEからもリリースされたテキサスのブルースマン。確かP-VINE創始者の日暮&高地コンビが大絶賛して、ディスクユニオンから国内盤も出た(もうP-VINE=スペースシャワーはブルースを見切ったってこと?)。俺が聴いたのは輸入盤だが、そんなこたあどうでもいい。これは凄い。グイグイくる音の圧力や太さも、かつてのファットポッサムのような過剰なものではなく、自然に溢れたもののように聴こえる。ブルースの、ブラックミュージックの魅力がバンバンに詰まってる。


⑩はイギリスのディープファンクバンドが、ジェームス・ジュニアというシンガーをゲストボーカルに迎えて作ったアルバム。単なるリバイバルやフォロワーという次元を超えており、レジェンドたちの名盤と並べても遜色ないと思わせるようなカッコいい一線級のファンク・ミュージックになっている。




次点として以下のアルバム。

Bettye Lavette - Worthy
Con Funk Shun - More Than Love
Billy Price and Otis Clay - This Time For Real
Da Liberal Soul - Fresh Oil
Eddie Cotton - One At A Time
George Porter Jr. - It's Time to Funk
Jessica Care Moore - Black Tea The Legend of Jessi James
Jill Scott - Woman
King Louie & LaRhonda Steele - Rock Me Baby
Koka Mass Jazz - Groovy Jam Shoes
Leon Bridges - Coming Home
Mighty Sam McClain & Knut Reiersrud - Tears of the World
Prince - HITNRUN Phase One
Reverend KM Williams - New Spirituals 
Sonny Knight & The Lakers - Do It Live
Tamar Braxton – Calling All Lovers
Tim Rogers & The Bamboos - The Rules of Attraction
Tyrese – Black Rose
Wee Willie Walker - If Nothing Ever Changes

って、次点にしてはメチャクチャありすぎるなあ・・・。

今年はガツンとくる作品は少なかったかも知れないけれど、なかなか粒は揃っていたと思う。
特にディープファンクバンドとベテランのコラポに楽しめる作品が多かった。
ブルースもここに挙げたもの以外に、白人でもいい作品がいくつかあった。来年もブログが続いたら、ブルースは人種不問で独立して選出しようかしら。

この中には入れなかったが、Rケリーやモニカの新作を聴いてビルボードにランクインするようなメインストリームものに関していろいろと考えさせられた。とにかく日本の格闘技界ばりに若手が育たないシーンになってしまった。
ヒップホップで今年ガツンときたのはジェシカ・ケア・ムーアぐらいで、それ以外は話題のケンドリック・ラマーすら個人的にはイマイチ。
東欧のコカ・マス・ジャズやオーストラリアのバンブーズ、モジョ・ジュジュなどのように、USやUK以外のファンクやソウルを志向するアーティストも何気に要注意。

次回はロックの年間ベストを選出してみます。



2015年11月24日火曜日

アラン・トゥーサンが死んでしまった

いささか古い話になるが、スペインでアラン・トゥーサンが死んだ。
ここしばらくは次女の誕生やその他で身辺がゴタついており、ブログを更新できなかった。
アラン・トゥーサン死去のニュースさえ放置していたのはそのせいだ。

俺がアラン・トゥーサンの存在を知ったのはいつのことだろうか?
音はともかく、名前を知ったのは早かったと思う。中学生の頃に知っていたのではなかっただろうか。当時はネヴィル・ブラザーズを筆頭としたニューオリンズ系のミュージシャンがミュージックマガジンあたりで注視されていたものだったが、中学生の俺からするとそういったアーティストたちは敷居が高かったし、それどころではなかった。
youtubeなんかなかったあの時代、まだまだ聴かなければならないロックのアーティスト、アルバムが山ほどあったのだ。 そうしたサウンドはオッサンになってから聴けばいいと思っていた。

実際にはオッサンになる前にニューオリンズ・サウンドに入門した。はじめて買った、そして気に入ったニューオリンズものはドクター・ジョンの「ガンボ」。あの声、あのサウンドを聴いて、これがニューオリンズかと感服した。19歳のときだ。



アラン・トゥーサンの代表作として名高い「サザン・ナイツ」を買ったのは、「ガンボ」を聴いてからそれほど期間も経てはいなかった頃だったと思う。
率直に言うとはじめは今ひとつ肩透かしを食らった気分だった。
「ガンボ」にはじまり、次いでプロフェッサー・ロングヘアーを聴いた俺からするとニューオリンズ・サウンドとはあの転げるようなピアノとリズムだったのだが、「サザン・ナイツ」はそれらのサウンドとそれほど重なっているわけではない。そしてまた、両者に比べると声にアクがないのもまた物足りなかった。逆に言うとそのアクのなさゆえに嫌いになることもなかった。あくまで普通に好きなワン・オブ・ゼムのひとり、というポジションだ。

2005年にニューオリンズを襲った台風、カトリーナ。
あの災害のあとにリリースされたベネフィットアルバム、 「Our New Orleans」の1曲目にアラン・トゥーサンの歌唱による「Yes,We Can」が収録されたが、あれを聴いておれのなかでのアラン・トゥーサンの位置が変わった。あのアルバムではトゥーサンと、バックウィート・ザディコが白眉だと俺は思っている。



乱暴にわけてしまえば、一度好きになってしまうとそれまでわからなかった魅力がたちまちに理解できるようになるアーティストと、そうではなくそれはそれで駄目なものは駄目なアーティストの2種類に分けられることが多いけれど、トゥーサンは前者だった。ちょうどその後ぐらいから、それまで余り興味がなかったアーリーソウルも好むようになっていて、パフォーマーとしてではなく、プロデューサーとしてのトゥーサンを集めたKENTやチャーリーのCDも楽しめるようになっていた。
ニューオリンズという地域性や属性ではなく、あくまでトゥーサンそのものがよいと感じられるようになっていた。


キース・リチャーズなども出演したニューオリンズの音楽イベントのドキュメント映画「メイク・イット・ファンキー」でのアーマ・トーマスとの演奏シーンなども印象深いが、アルバムとしてはラストとなった「Songbook」が最も胸に響くか。自分の持ち歌を、あるいはかつて誰かに提供した楽曲を歌うライブアルバム。往年のミーターズのようなバンドはいない。ピアノの弾き語りだ。そしてそれがトゥーサンの声にたまらなく合う。ピアノも歌も流れるようだ。優雅ですらある。
かつてミーターズなど優秀なバンドを使って幾多の楽曲をプロデュースしていたトゥーサンが最終的にたどり着いたのがミニマムなピアノの弾き語りであるという事実を前に、これこそが音楽の原点であり、これ以上はただのひけらかしであり、単なる過剰ではないのかという暴論さえふと浮かんでくる。最低限の演奏と歌、それだけでよいのだと。

それがただの愚にもつかない思いつきでしかないのは明らかだが、 少なくとも音が流れているあいだは、そうした錯覚に陥らせるだけの力がある。本人がどう思っていたかはともかく、これが最後のアルバムであったのは本人にとって本当に幸福だったのではないだろうか。年齢を重ねるにつれてアーティストとして表現力が高まっていた事実を残せたのだから。









2015年11月10日火曜日

極私的・日本のロックベストアルバム(ノミネート編)

余りにも暇なので作成してみることにした。
取りあえず日本のロックなのはブラックミュージックや洋楽ロックに比べてチョイスしやすいからという、極めて軟弱な理由。
選択の基準と優先順位は以下のとおり。

①現在の自分が求めているもの、聴いて素直によいと思えるもの。 
②今後も聞き続けるであろうと思われるもの。
③かつてかなり愛聴し、自分の音楽観に影響を与えたもの。

よって、③を十分に満たしていてもランクインしない確立が高いので悪しからず。

とりあえず、今回は思いつくままに以下のアルバムをノミネート。


フラワートラヴェリンバンド「サトリ」
ジョー山中「新しい世界へ」
サディスティック・ミカ・バンド「ファースト」
キャロル「ルイジアンナ」
頭脳警察「ファースト」
浅川マキ「浅川マキの世界」
浅川マキ「キャットナップ」
RCサクセション「ラプソディ」
RCサクセション「楽しい夕に」
RCサクセション「シングルマン」
忌野清志郎「メンフィス」
遠藤賢司「Niyago」
遠藤賢司「満足できるかな」
斉藤哲夫「君は英雄なんかじゃない」
高田渡「ごあいさつ」
高田渡「系図」
高田渡「石」
大瀧詠一「ファースト」
あがた森魚「乙女の浪漫」
はちみつぱい「センチメンタル通り」
古井戸「古井戸の世界」
岡林信康「中津川フォークジャンボリー」
岡林信康「金色のライオン」
加川良「タイム・アウト・オブ・マインド」
友部正人「大阪へやってきた」
友部正人「にんじん」
友部正人「また見つけたよ」
三上寛「ひらく夢などあるじゃなし」
三上寛「BANG!」
五つの赤い風船「モニュメント」
いとうたかお「ファースト」
田中研二「チャーリー・フロイドのように」
小坂忠「ほうろう」
村八分「ライブ」
サンハウス「ポイズン」
細野晴臣「泰安洋行」
西岡恭蔵「ろっかばいまいべいびい」
布谷文夫「悲しき夏バテ」
荒井由美「ひこうき雲」
サウス・トゥ・サウス「この熱い魂を伝えたいんや」
大上留利子「ええ歌ばっか」
ソー・バッド・レビュー「ファースト」
憂歌団「ファースト」
金子マリ&バックスバニー「ライブ」
スカイドッグブルースバンド「ファースト」
萩原健一「熱狂雷舞」
萩原健一「ドンファン」
萩原健一「サンキュー・ディア・マイ・フレンズ」
柳ジョージ&レイニーウッド「タイム・イン・チェンジス」
矢野顕子「ジャパニーズガール」
矢野顕子「スーパーフォークソング」
大貫妙子「ミニヨン」
アナーキー「ファースト」
アナーキー「80年維新」
アナーキー「アナーキーシティ」
フリクション「軋轢」
リザード「リザード」
プラスティックス「ウェルカム」
アーント・サリー「ファースト」
PHEW「SAME」
イヌ「メシ喰うな」
町田町蔵「ほな、どないせえゆうね」
町田町蔵+北澤組「腹ふり」
スターリン「STOP JAP」
スターリン「虫」
スターリン「フィッシュ・イン」
ノンバンド「ノンバンド」
じゃがたら「南蛮渡来」
チャンス・オペレーション「リゾルブ」
チャクラ「さてこそ」
ルースターズ「ファースト」
ルースターズ「DIS」
ルースターズ「φ」
スタークラブ「ハロー・ニュー・パンクス」
バッツ「Waooo!」
スクーターズ「娘ごころはスクーターズ」
泉谷しげる「吠えるバラッド」
ローザ・ルクセンブルグ「ぷりぷり」
SION「ストレンジ・バット・トゥルー」
SION「夜しか泳げない」
ブランキー・ジェット・シティ「BANG!」
頭脳警察「ファースト」
中川五郎「25年目のおっぱい」
CHAR「ファースト」
有山じゅんじ「ありのままじゅんじ」
シュガーベイブ「SONGS」
吉田美奈「モンスター・イン・タウン」
ミラーズ「リアル・ステイト」
ミスター・カイト「ライブ・イノセント」
シーナ&ザ・ロケッツ「チャンネル・グー」
ロッカーズ「フー・ザ・ロッカーズ」
P-MODEL「ヴァーチャル・ライブ1」
戸川純「玉姫様」
ゼルダ「セカンド」
ゼルダ「空色帽子の日」
ブルーハーツ「ファースト」
岡村靖幸「靖幸」
ブランキー・ジェット・シティ「BANG!」
花田裕之「ロックンロール・ジプシー」
マッドカプセル・マーケッツ「Same」
UA「ファースト」
原田知世「クローバー」
小島麻由美「セシルのブルース」
フィッシュマンズ「宇宙東京世田谷」
フィッシュマンズ「空中キャンプ」
椎名林檎「無罪モラトリアム」
相対性理論「シフォン主義」
モノポリーズ「ファースト」
パフューム「ゲーム」
カルメン・マキ「From Bottom World」
宇崎竜童「ブルースで死にな」

しかしショボいセレクトだな。
無難というか、いかに自分でアンテナを張り巡らせて音楽を探してなかったかがわかるね。
とりあえず頭からっぽで名盤ガイドまかせ。

それにしてもセレクト全般的に思ったのが、俺ってフォーク(アメリカ音楽の影響が強いもの)とパンク(ビンテージもの)が好みであり、反対にバンドブームやビジュアルみたいなミーハー系と、渋谷系やロキノン系みたいな優等生っぽいものが苦手なんだと。

この中から最終的にはベスト20、次点10で合計30枚まで絞ろうと思う。



     

2015年11月8日日曜日

Doris Duke - I'm A Loser

稼ぎ時だったはずの土曜も閑古鳥。
どうしてこうなった、原因を突き詰めて考えると死ぬしかなくなる。
外へ出る気がしなくなるし、何をやっても面白くない。何を食っても美味くない。鬱々としている。ことごとくが呪わしい。
これが負け組みか。嫌だね。

暇に任せて佐木隆三の「偉大なる祖国アメリカ」 を読んだ。
主人公のことごとくがネトウヨと呼ばれる層と重なる。
弱いものは殺していい云々。
妄想のなかの美しい美しい美しい祖国。
「王国なんて本当はなかったんだ」、三島は割腹前に上演された「薔薇と海賊」のこの場面で泣いていたというが、おれが三島を信用できるのはこのエピソードに由来する。
王国なんてない。インターネットに溢れる愛国者たちの主張を見るにつけ、この台詞がリフレインされる。



KENTから出たドリス・デュークの「I'm A Loser」。
スワンプ・ドッグがプロデュースした2枚のアルバムと未発表曲、Not Onの7吋を収録したもの。
ここ最近はイギリス録音の「Woman」も含めて、よく聴いている。
べ、別におれが負け組みだからこんなタイトルのアルバムを聴いてるんじゃないからな。

しかし泣かせてくれるよな。
スワンプ・ドッグが70年代にプロデュースした女性シンガーものではこれが一番好きだ。
収録された2枚のアルバムのいずれもクオリティが高く、泣ける。胸がひりついてくるね。
特に胸が打たれるのが未発表だった24曲目。

レイ・チャールズのあの曲にやや似た曲調だが、そうした指摘も陳腐に思えるほどの熱唱。
これほどの壮絶曲が未発表だったとは。
youtubeでは結婚前のDoris Willingham名義でヒットする。


45年生まれのドリス・デューク、まだ歌ってるのだろうかと思いを馳せてしまった。















2015年11月6日金曜日

Eric Burdon Live in Berlin 2015


ブルースな生活は続く。
だからずっとyoutubeを見てた。

 

Aretha Franklin live at Fillmore West, July 3rd, 1971  - Full Concert -


 

Delaney & Bonnie & Friends  Copenhagen December 10, 1969


いずれもいいに決まっているのだが、特にぶっ飛んだのがこれ↓


 

Eric Burdon   Live in Berlin 2015

今年のライブ。
見た目のおじいちゃん化が順調すぎるってぐらい順調すぎるが、反比例して声が若々しいこと。
悪魔と取引して、見た目の若さを代償に声の若さを取り戻しているんじゃないのか?
晩年のソロモン・バークとか、10数年前のアル・グリーンみたいなバシっとしたスタジオ・レコーディングを聴きたいよ。
この人をナツメロシンガーで終わらせるのはもったいなさ過ぎる!



2015年11月5日木曜日

Robert Ealey - Blues That Time Forgot

ブルースだ。
仕事や生活そのものが。
恐らく2週間以内に子どもが生まれるが、生活保護以下の所得しかない。
そのころにはたぶん雪が降りはじめているだろうが、新しい冬タイヤを買う金がない。
嫁が妊娠したころから商売がうまくいかなくなってきた。なにもいいことがない。

ブルースを聴く。
Robert Ealey。
持ってはいたが、ほとんど聴いたことがないブルースマン。
ググってみたところテキサスの人のようだ。
1925年に生まれて、2001年に死んだ。
今日聴いたアルバムはライブレコーディングで、音質もラジカセで録ったようなひでえやつ。
70年代のものらしいが、詳しいデーターは記載されていない。



ブルースだ。
ヘタウマなギター、がなるボーカル。
だけど凄く気持ちよさそうにブルースをやっている。
汚い音のなかから、その感情が溢れそうに伝わってくる。
とてつもなくカッコいい。おれが求めるブルースの75%でできている。

この人の作品はこれしか持ってなくて、90年代にブラックトップからリリースされた作品がamazonにて安価で購入できるけれど、このアルバムで聴けるイーリーの魅力は恐らく収録されていないだろうな。ブラックトップだし。90年代だし。

こういうブルース、もっと聴きたい。
そうしたら失業保険以下の所得や苦しいだけの現実も忘れられるだろうよ。





2015年11月3日火曜日

Whiskey Moon Face - One Blinding Dusky Dusk







これほどまでに秋の夜長が似合うアルバムもない。
そして、ジャケットが音楽の中身を告げているアルバムも。

イギリスの3人組が2014年にリリースしたファーストアルバム。
オールドタイミーなスタイルで、最初はアメリカのグループだと思っていた。
光ある時間には似合わない、夜しか泳げない人たちにおすすめのアルバム。
90年代初頭からというもの、リアルタイムなイギリスのロックにはわたしの頭をいつも素通りしてしまうが彼らはちょうどよく頭の上のいいところにくっついて離れない。

これから長いつきあいになりそうなグループだ。







2015年11月2日月曜日

2015年7月12日日曜日

憂歌団 - ST


75年のファースト。

はじめて憂歌団を聴いたのは中学生の頃だった。
当時、憂歌団=和製ブルースの最高峰という風潮が確かにあった。
というか、中学生レベルでは憂歌団以外に日本のブルースバンドなんか存在しないも同然だった。
ロッキン・オンにも、パチパチにも、その他友達の家にある音楽雑誌にも、ブルースバンドなんか載っていなかったのだ。ただ憂歌団だけが(新譜やライブのインフォメーション程度とはいえ)紹介されていた。
近藤房之助がビーイングからアルバムを定期的にリリースするようになるまでには数年の時間を要した。

ストーンズなどを通してブルースに幻想を抱いていたおれは、当然のように憂歌団のCDを借りてみた。当時は地方にいて、マディやウルフなどのベーシックアイテムすら聴くのが困難だったのだ。
ショップにあったのはフォーライフ時代のベストだが、残念なことにそれは少なくともおれが思い描いていたブルースとは違っていた。
ストーンズを通して思い描いたブルースよりも、むしろ普通の歌謡曲や演歌に近いように感じたのだ。 

そんな芳しいとはいえない出会いをした憂歌団を久々に聴いてみたのは、近所のブックオフにズラリとその作品が並んでいたからだ。おそらく、同一人物が売却したのだろう。それを見て、ふとファーストがほしくなった。トリオ時代は大方持っているが、なぜかこのアルバムはなかった。

もう何年ぶりかわからないほどご無沙汰だった憂歌団だが、圧巻だった。
ブルースの音源を聴くのも難儀したとリアルタイマーがよく述懐するところだが、そんな70年代前半にこれだけブルースのフィーリングをモノにしていたのは感嘆するしかない。
改めて聴くと演奏力のみならず、歌詞の完成度や、木村の声も相当に強力だ。
そして何より、サウンドも歌詞もいまなお決して古びてない。これには驚いた。
同時期のサウス・トゥ・サウスやソー・バッド・レヴューなどを聴いていると今となっては時代を感じる部分が少なくないが、憂歌団にはそれがない。

いまなお有効な75年のブルース。
この事実を認識したのは収穫だった。








2015年7月2日木曜日

2015年6月に買ったCD








 
  1. Catfish Hodeg - Different Strokes
  2. Rosalie Sorrels - Whatever Happened To The Girls That Was
  3. The Dells - They Said It Couldn't Be Done, But We Did It!
  4. Jimmy Custor Bunch - Hey Leroy
  5. George Clinton - You Shouldn't Nuf Bit Fish
  6. Ruth Brown - Late Date With Ruth Brown
  7.  Jerry Williams - Gone
  8.  VA - Ska All Mighty
  9.  Eric Roberson - The Collection
  10. VA - Bay Area Funk
  11. Teenie Hodges & Hi Rhythm - Collection 2000
  12.  Carla Thomas - Best Of The Singles Puls!
  13.  David Bromberg Band – Midnight On The Water
  14. Frankie Lee ^ Going Back Home
  15. Archie Shepp - Fire Music
半分ぐらいはまだ聴いてないテイタラク。
聴いたものはいずれもナイスですね、な内容で何より。

入手して嬉しかったのはカーラ・トーマスのベスト。
前から欲しかったんだ。ヤフオクで相場より安く入手できてちょっとハッピー。


ジワジワと気になっているのはティーニー・ホッジス。
disclogやwikiなどを参照してもまったくデータがない謎の一枚。
唯一、高橋”ティーチャー”誠のサイト(2008年より放置)で紹介されているのみ。
amazon.comやオクでも見かけないし・・・。
もしかしてすんごいレア盤をゲットしてしまったのかも。
そんな取らタヌなことよりも肝心の内容だが、ジャケにプリントされたコピー「Memphis Feel Good Music!!!!!!!!」を体現するもの。
サザンソウルだけが取るに足らない日常にたまった澱を一掃することができる。
そう、サザンソウルだけが!

追記

あとこれも買ってた


Zelda - フルムーン・プージャー
まだ聴いてない。

















Jill Scott - Golden Moments

先日発売されたジル・スコットのベスト。
最近、仕事中のBGMで聴いている。


本当はこの人のアルバムで一番好きなのは、セカンドのライブ盤だ。
あののびのびと腹の底からエモーションを搾り出すような歌い方はまさにソウル・ミュージック。
スタジオレコーディングでの歌い方は、あまりにも抑制しすぎているかのようなきらいがある。

ゆえにあまりスタジオ録音の楽曲を好んで聴くことはなかったが、これはこれで心地よい。
ベスト盤だから楽曲は当然粒ぞろい。



1. Jilltro
2. Golden
3. He Loves Me
4. Crown Royal
5. Slowly Surely
6. My Love
7. It's Lovem
8. Hate on Me
9. Whatever
10. Cross My Mind
11. The Way
12. The Fact Is (I Need You)
13. Long Walk
14. Comes to the Light
15. I Adore You
16. Gettin in the Way

2015年7月1日水曜日

Richard Hell & The Voidoids - Blank Generation



ほぼ25年ぶりぐらいに聴くのではないだろうか。
テレビジョンやジョニー、パティはたまに引っ張り出すというのに、リチャード・ヘルのCDは手に取ることすらなかった。
タイトル曲に関してはコンピで耳にすることもあるが、それ以外の楽曲はただただ懐かしく響く。
 
思い出されるのは高校2年の夏だが、確かにひと夏のBGMであったことは間違いない。
札幌のタワレコで、コステロやリプレイスメンツなどと一緒に買ったのだ。

ああ、そうだった。新日の月寒ドーム大会を見た帰りだ。
前日の土曜に開催された函館大会と続けて見たのだが、メインの武藤・蝶野対ウォーリアーズのショボかったこと!
函館でやった武藤・マサ対ウォーリアーズとなにからなにまで同じだったのだ。
むしろそれがメインじゃなかっただけ函館のほうがマシだったけど、ああ、やっぱりドサの試合はビッグマッチのリハーサルなんだな、とつくづく思ったものだった。
帰り道のJRでは、キオスクで買った週刊ファイトを何度も何度も読み返した。それしか時間を潰す方法がなかったからだ。

相変わらずへろへろしたヘルの声も、いま聴くとショボい音も、かつてのようなスリルを伴うことなく、メロウにすら感じるのはトシのせいか、それとも酒のせいか?

2015年6月27日土曜日

Eugene Record Song Book vol.2



聴いていると胸が苦しくなる。
いままでずっと、シャイライツは好きなグループのひとつぐらいの位置づけのはずなのに。
ユージン・レコードよりもサム・ディーズのほうが好きなはずだ。
KENTから出たサム・ディーズやフィリップ・ミッチェルの同様の企画よりも、遥かに切迫なのはどうしてなのだろう。 
Vol.1ではそんなことはなかった。
このvol.2はただひたすらに苦しい。
酒のせいだろうか、チャップリンの「街の灯」のラストシーンのようだ。 
嗚呼。


1. The Chi-lites / Are You My Woman?
2. Joss Stone / Stoned Out Of My Mind
3. Jackie Wilson / Helpless
4. Barbara Acklin / Am I The Same Girl
5. The Chi-lites / Give It Away
6. Peaches & Herb / Two Little Kids
7. The Chi-lites / Just Two Teenage Kids
8. The Chi-lites / Toby
9. Joss Stone /
10. Johnny Sayles / Troubles A Comin’
11. The Blind Boys of Alabama feat. Casey Dienel / There Will Never Be Any Peace
12. Timmy Thomas / Coldest Days Of My Life
13. The Chi-lites / Have You Seen Her
14. The Promises / Oh Boy
15. The Artistics / What Happened
16. Wales Wallace / We’re Not Happy
17. Loleatta Holloway / There’ll Come A Time
18. Ginji James / Until You Return
19. Lionel Hampton / Please Sunrise
20. George Benson / Soulful Strut






2015年6月14日日曜日

Grouper - Ruins



1曲目を聞いたときにはイイと思った。
遠くから聞こえるようなピアノ、囁くような声。
日当たりの悪い、ひんやりとした部屋を思わせる楽曲。
サティを聞いたときとそっくりな感触だ。
歌詞は不明だが恐らく幸福や充足感をうたってはいないだろう。しかし渇望もない。不幸でも幸福でもないあるがままを夢うつつでつぶやいているかのように思える。
LP時代ではないのが惜しいのは、このジャケットが実によくこの作品を一目で表現しているからだ。

が、問題はそのあとだ。
続くどの曲もあまりにも似通い過ぎている。
というよりも全部同じ曲にしか聞こえない。
ブルースによってそのようなシチュエーションには耐性のある俺ですらそう思うのだから、相当なもの。
冒頭の好印象すら忘れてしまうのはかなりヤバイと言わざるをえない。

眠れない夜にはいいのかも知れない。

2015年6月11日木曜日

Dub Pistols - Return of the Pistoleros



なんじゃこりゃ、ホントにダブ・ピストルズかよと耳を疑った新作。
「なんでこんなの聴いてるの」と嫁に真顔で呆れられるようなサウンドは、従来の彼らよりは湘南乃風に近い。
①、②と最後まで聴き通すことが不可能なダサさの曲が続き、4曲目でとうとうギブアップ。
意欲がすっかりと消えうせてしまいました。

もうこれで俺の中のリストから彼らの名前は消えたね。

2015年6月9日火曜日

Jerry Williams - Gone

 
昨日、HMVから届いた7枚のうちの1枚で最初に聴いたものがこれ。
ファンキーでソウルフルでメチャクチャかっこよくてヘビーローテーション。
声の質は線が細いが、それがまたチープで怪しくていい感じを醸し出している。
おかげで他のCDが聴けないまま。
憎いやつだぜジェリー・ウィリアムス。
オーティスのカバーもソウルフルで熱い。
72年リリースのファーストも最高。
クラプトンとの関係で有名な人だけど、クラプトンより断然イイだろ?
2005年没。


2015年6月3日水曜日

Conya Doss - Ⅶ

 
快楽。
一言でこのアルバムを表現するならコレだ。
彼女の作品はいつもメロウで気持ちイイが、今回もまた例に漏れずに気持ちイイ。

そりゃ、こうして感想を記しているうちに疑問が浮かばないわけではない。
気持ちイイのは悪いことではないが、もっと、こう、自己主張があってもいいのではないか?
 
アレサやエタ、キャンディ、ピーブルズは単に気持ちイイだけじゃなかったからな。
(メロウ=悲しさを含んだ)気持ちよさとは対極の憤怒、そして壮絶さといったものをプンプンさせていた。
いわば喜怒哀楽をフル回転させたのが彼女たちであって、すなわちそれこそがソウル・ミュージックではないかと改めて思うわけなのだが、本作は喜怒哀楽を感じ取ることはできるが、壮絶さ、おれ的にはソウルの醍醐味、それが不足している。
まあ、そうした愚痴をグダグダ言うんなら最初から先ほど名前を挙げた先人たちを聴いとけって話だし、これはこれでいい作品であることは間違いない。

冒頭に記したように、とにかくメロウな快楽を体現している作品なのだから。いいですヨ。
 

2015年5月31日日曜日

G.C. Cameron - Love Songs & Other Tragedies


DEEP & MELLOW。
このアルバムのほとんどが、俺がソウル・ミュージックに求めているサムシングでできている。
スピナーズ時代よりもディープな体質が前面に出ているからか。
ダンサーも、メロウも、スローも、逸品揃い。
聴かな恥、どこかで聞いたそんな言葉がふさわしいグレイトな一枚。


 

2015年5月28日木曜日

B.B.King - Blues Is King


以前のエントリーで、晩年のB.Bはギターを弾く指先がたどたどしくなろうが、そのシャウトは決して衰えなかったという意味のことを記したが、全面的に訂正する。

もちろん年齢を考慮すると尋常ではない声が出ていたが、やはり若き日からみると老いたることは否めなかった。
もちろん、80を過ぎてあれだけ声が出ていたのは相当に凄い話だが、考えてみれば精力に溢れていた時期のレコーディングがあれだけ残っているのだ。まあ、普通にそっち聴いたほうがいいよな。

このように全面的に意見を訂正・撤回する気になったのは、久々に「Blues Is King」を聞いてしまったからだ。
66年にシカゴで行われたライブのアルバムだが、しかしとにかく凄いね。これぞ名盤の称号にふさわしい出来。
とにかくパワーが凄い。金や女、仕事や交友関係でのちっぽけなブルースなんて吹っ飛ばされてしまう。

声も凄いし、B.B節全開のギターもタマらない。グイグイと突き進むバンドのグルーヴも相当なもんだ。
ブルースギターの評価の基準とはテクニックの上手い下手ではなく、誰のクセが好きかどうかなのだと思っているが、おれはB.Bのクセがやっぱり好きだな。

アルバムタイトルもイカしてる。
Blues Is Kingだもんな。

タイトル通り、やっぱりブルースは、B.Bは音楽のホームラン王だね。
そんな当然すぎるほど当然のことを再認識させられた珠玉のライブアルバム。
ブルース・ラヴァーも、そうじゃないヤツも、一家に一枚常備すべきマスターピースだ。

Phoebe Snow - Against The Grain


フィービ・スノー、78年の5枚目。
彼女に関してはブルースやフォークの色が濃かったファーストばかり聴いていて、それ以外の作品は敬遠していた。  
本作もAOR色が強い。
ダン・ペンによるディープソウルの定番②、エイス・デイの③といったソウルのカバーも悪くはないがそこそこの出来で収まっている印象。

ファーストの作風を基準とするなら、ずいぶんと薄く感じることは事実。
まあ、ここ最近はどうもそうした薄さ、軽さを求めているのだが。
たとえば、いかにも70年代半ば~後半的なシンセのサウンドがいくつかの楽曲で聞こえるが、ハッキリ言ってダサい。が、味がある。
だからこそオーティスの曲からタイトルをいただいて、説明にソウルが好きって書いているのにもかかわらずあまりソウルのことを書かないのだが。

好きな曲は⑧。かつてならポップス、AORと小馬鹿にしていた曲調だ。
昔はくすんだ刺々しい音楽が好きだったから、「Oh LA」のような曲も、そしてうたわれているLAのことも嫌いだった。
どんな心変わりでこれがいいと思うようになったのかって?
さあね。よくわからないし、わかりたくもないね。
たぶんおれよりもおれの嫁さんのほうが詳しいんじゃないのか?


2015年5月26日火曜日

Frank Christian - Somebody's Got To Do It


デイブ・ヴァン・ロンクがカバーした「Where Were You Last Night?」を収録したフランク・クリスチャンのファースト。
彼の存在を知ったのは友部正人を通してだった。
俺がSSWにどっぷりだったゼロ年代前半はCD化されておらず、アナログもかなりレアだったように記憶している。

いい意味で80年代の作品とは思えないプロダクション。
楽曲、演奏、歌唱のすべてが胸に染みる。

それにしてもヒップホップやオルタナティブといった最先端な音の影に隠れてこのような伝統的かつエバーグリーンなアーティスト、作品が水のように染み出ていた当時のニューヨーク音楽シーンのなんと豊潤なことか。


これぞ名盤だ。


2015年5月24日日曜日

Bobby Byrd 2タイトル






1000円シリーズ。
内容は頗るよい。
おれのなかでBB再評価がプチブーム。

2015年5月17日日曜日

B.B.King Is Gone

B.B.が死んだ。
少なからずショックを受けている。

BBは死なない、おれはそう信じていたからだ。

20年前から誰のライブが見たいかと問われると「BB」と答えていた。
理由? ギタリストとして、そしてなによりシンガーとして魅力的なのは言うまでもないが、加えてもうすぐ死ぬだろうと考えていたからだ。



そんなことを言い続けて20年もの年月が経過した。
死ぬどころか、むしろその言霊が逆の作用を果たして不老不死の力を与えているのではないかと思うほど、BBは旺盛に作品をリリースし続け、元気に世界を駆け回り続けた。

数年前のライブ映像を見ると、ここ数年はずいぶんと顔の肉が削げ落ちて老いて見えたものだった。
ギターを弾く指もたどたどしくなってはいたが、まだまだ声はたっぷりと出ており、こりゃ100まで余裕でステージをこなしてるなと思わせたものだった。

結局、生でBBのライブを拝む夢は叶わなかった。


ベン・E、パーシーと、ブラックミュージックの大御所がどんどん死んでゆく。
残るはもはやアレサとバディ・ガイだけではないか?

さらばBB。 本当にありがとう。

合掌。

2015年5月14日木曜日

Sharon Forrester - Happy Day

ずっと長いこと、近所のブックオフ500円コーナーでシャロン・フォレスターの「ハッピー・デイ」が並んでいた。
ラヴァーズ・ロックの古典として余りに有名な「Sharon」を名盤であると信じて疑わない俺が思わず「ほう」などとひとりごちたのは言うまでもないが、なぜかレジに運ぶことはなく、そのうち買おうと思い続けて早一年。
買おうかと思いはするものの、頻発される3枚1000円セールの時すら結局は購入せず現在に至っていたのだが、昨日足を運んだところ、なんと100円コーナーにブチこまれているのを発見&サルベージした次第だ。

しかし、ま、手元でまじまじと見ると、どうして1年も迷った挙句に買わなかった理由が具体的にわかってきた。

まず、ジャケが悪い。



いかにもポスト・バブル時代特有の脱力感溢れたセンスのイラスト。ここ10数年なら癒し系とでも形容されるのだろうか。現在ならムーミングッズを買い漁っている女がターゲットというのが一目瞭然。

そういえば、この時代はジャネット・ケイやクレモンティーヌ、絵ブリシング・バット・ザ・ガールあたりがOLに持てはやされていた印象(当時、そのタイプのスケと接点ゼロだったので憶測)だが、本作もそうした層をターゲットにしていたのは疑うまでもないだろう。
「日本先行発売」という帯に付されたフレーズも不吉だ。てか、ジャマイカやイギリスでもリリースされたのか?


でも、ライナーは会田裕之だし・・・などとプレイしてみたのだが、おれはエスパーなのか? あるいは動物的な超鋭敏な本能で回避していたのか・・・。1曲目の「My Boy Lollipop」を聴いてしみじみ100円でよかったと思った。
そもそも考えてみりゃ、80~90年代のレゲエって好きじゃねえんだよな。リバーブの効いたドラムとか、シンセの音ってホントーにダサいし、あれがクールでオシャレだとされていた時代があったなんて信じられないぜ。当時も眼中になかったし、耳が変わった今でも余りいいとは思えない。

などと、最初はたった100円にもかかわらず損したとブツブツ愚痴っていたのだが、聴いているうちに、というか、ろくずっぽ聴きもせずダラダラBGMとしてタレ流しに掃除やら何やらをこなしているうち、これはこれでアリか、という気になってきた。
ファーストアルバムのように浸って聴くのではなく、あくまでBGMとしてなら。
考えてみりゃバックの音がダサいだけで、シンガーとしての実力は一級品。
ポンコツと化したかつてのレジェンドを引っ張り出しただけの作品ではないことは明らかだしね。

まあ、考えてみりゃ95年当時、裏方の思惑はどうであれ、伝説化していたシャロン・フォレスターのフルアルバムを日本製作で出せただけでも本当は凄いっちゃ凄いことだからなあ。
ライナーによれば本作⑪がクルマのCMで用いられるなどレコード会社も力を注いだようだが、結局先にたとえに挙げたジャネット・ケイやクレモンティーヌのように、日本で人気が定着することはなかったシャロン・フォレスター。

このあと、日本でアルバムがリリースされることはなかったようだが、まあ、今では誰をターゲットにしているのかまったく理解不能な色物化した活動を細々と日本で行っている(らしい)ジャネットやクレモンティーヌみたくなるよりはマシか。

当時の日本のレコード会社ってカネあったんだなあ、とつくづく思わせた本作。
バブルは終わったが、まだ世の中に勢いがあった時代に思いを馳せつつ、快適な掃除のお供にどうぞ。











2015年5月13日水曜日

C.W.Stoneking - Gon Boogaloo

カッコいい!

何の先入観もなしに耳にして、ストレートに思った。
トム・ウェイツからメロウさとバックの音の厚みを抜いたらコイツ。
猥雑で、レイジーで、安っぽくて、カラカラに乾いていて、ヘタウマで、センスのよさに溢れていて、そしてバカバカしくもあり、おれが勝手に定義しているブルースの大筋で合致している。
C.W.Stonekingは74年生まれのオーストラリア人らしいが、まさかこんなヤツがいるだなんて!






今回聞いたのは2014年にリリースされた「Gon Boogaloo」。

どうも現時点で本作を含めて3枚のアルバムをリリースしているようだ。
これはもうGETするしかないな。

こういう音楽に出会えることが僥倖というのだ。



2015年5月12日火曜日

Rufus Thomas - Crown Prince Of Dance

ルーファス・トーマスといえばワッツタックスでのパフォーマンスが印象的な方も多いだろう。
あのバカバカしくもゴキゲンなパフォーマンスは圧巻だったよな。

そんなルーファス・トーマスの、イナたさとファンキーさ加減がつくづくカッコいい、73年の会心作がこの「Crown Prince Of Dance」。
ジャケもファンキーでカッコいいんだよな~・・・って、アナログやCDでもなく、レンタルをリッピングしたやつを聴いてるから、それについてはとやかく言える立場じゃないんだけど。

かなり久々に聴くが、バックの演奏もキングピンズやハイリズム、ムーブメントと腕利きが入れ替わり立ち代り勤めていて聴き応えあり。しかしまた、なんでコーネル・ デュプリー? この時期のスタックスがハイスタジオやマッスルショールズと深く関係を築いていたことはよく語られるけど、余り真面目なリスナーではないお れからするとその意外さが興味津々。

⑦、⑧といったスローもいぶし銀ぶりも沁みる。
ラストでは必殺の動物鳴きまねも炸裂、その毎度おなじみなバカバカしさもファンキー!

2015年5月11日月曜日

Sam Cooke - The RCA Albums Collection


例によって仕事で何もできなかったに等しいが、今年のGWは家族での道南ドライブと、サム・クックのボックスを950円でゲットに集約されるだろう。



恐らく同一人物が処分したのだろう、GWの前あたりから近場のブックオフでオーティスやサム・クックが大量に売られていた。
数年前に出たものも含まれているから、売った方は割りと最近まで熱心にそのあたりを聴いていたはずだし、枚数的にもかなりの熱意があったはずだ。
ここまで手放すとはいかなる心境の変化によるものなのだろうか。

だって、旧規格のリマスターもされていない1枚もののベスト盤が1500円ぐらいで売られているのに、なぜかリマスターされた8枚組ボックスが950円であたりまえのように売られてるんだぜ? 
要するに、この街ではサム・クックなんか誰も知ったことじゃないし、どうだっていいんだ。

こんな街でサム・クック、それはとてつもない苦行なのだ。
売った人も、いままで家族や親戚、友人に散々「わけがわからない」だの、「そんなの知らない」だの、マニアオタク呼ばわりされ続けたことだろうよ。
それなのに全部(たぶん)手放してしまうなんて・・・。

まあ、実情はそれほど重たくはないかも知れない。
今はリッピングしとけば音は聞けるからな。
子供の頃は中古で買ったレコードが気に入るとどんな人がこのレコードの元の持ち主で、どんな理由でこんな素晴らしいレコードを手放したんだろうとクドクド考えていたものだった。
そしてそんな想像は、決まって暗くて気がめいるようなイメージに帰結するのだった。
だって、あんなに素晴らしいレコードを売り払うなんて、よっぽどの事情がないとありえないだろう?

いずれにせよ、リッピングもCDのコピーもありえなかった20世紀のイマジネーション。
だがその想像力よりも古い音楽が相変わらずイカしすぎている。とりあえずハーレム・スクェアをかけたが、いつ聴いてもエキサイティングだ。まあ、これでハーレムスクェアを3枚持ってることになるのだが、音質は旧規格よりも上回っているのは言うまでもない。

たぶん売り主はmp3プレイヤーで相変わらずサムやオーティスを聴いているのだろう。いや、思いたい。
手放してくれてありがとう。これから、ずっと大切に聴かせていただきます。










2025年再発&編集アルバムベスト

B ob Dylan - Through The Open Window: The Bootleg Series Vol. 18 Chance Operation - Place Kick Dead Famous People - Wild Young Ways Doc Pomu...